
伝統と革新を併せ持つ地元企業
明日の住まいの「基本性能」に挑戦する
株式会社 白石建設(群馬県)
代表取締役白石 典之 氏
群馬県太田市内東武鉄道桐生線藪塚駅からクルマで南西に10分ほど。群馬県道69号線(銅街道)から200メートルほど奥まった市街地に株式会社白石建設がある。藪塚本町(現・太田市)大原で祖父の代から大工を家業としていたこの地で、父・白石昌一会長が白石建設を設立したのは1973年のことである。その後、東北自動車道、関越自動車道の群馬延伸に並行して桐生・太田市周辺地域に企業の大規模工場の誘致が相次ぐと、分譲地の造成が急ピッチで進められた。これを追い風として、新築戸建て注文住宅の会社としての誠実な仕事ぶりが評判となり、白石建設は、1990年代には地元の有力企業へと成長していった。
2000年以降は、市町合併、人口減、生活様式の変化等など、経営の難しい舵取りが求められる時勢が続いている。こうした中で、先代を引き継いで老舗企業の経営を任された白石典之社長に、会社への想い、事業内容、現在の課題、将来への抱負などについて伺った。
帰郷して父親の経営する会社に入社したのは32歳の時

白石典之社長は、会社の跡継ぎとしての自覚と、自分自身の生き方との折り合いを求めて試行錯誤の青年期を過ごしたという。高校時代に分子生物学に興味を抱いて利根川進教授を輩出した京都大学理学部進学を志したが、お客様や社員、会社はどうするのかと親に暗に言われ、入ったら興味が湧くかもしれないと結局京都大学工学部建築学科に進学した。
「建築学教室には著名な設計の先生たちが卒業生にいらっしゃって、私もある有名な設計事務所にアルバイトに行って建物の模型をつくるのを手伝ったり、京都市内の有名建築等を見て回ったりもしたのですが、建築への想いが無い事の再確認をしただけで自分のやりたい仕事は何なのかなぁ?という思いが残りました」。
そんな想いを抱えながらも家業を継ぐための修業場所として、新卒で大阪に本社のある分譲住宅会社に入社した。設計を志望したが営業に回され、モデルハウスで見学者の案内にあたる日々……、お客様に喜んでいただきそれなりに充実していたが、何か物足りなさを感じていた。その様な中、不動産投資の業界を知って面白そうだと今度は不動産投資の会社に就職した。勤務地は東京・大手町のオフィスビルで派手な不動産ベンチャーの世界だった。売上優先の会社の方針に何の為に仕事をしているのか、自問自答の日々を過ごし悶々としていた。東京での暮らしにも馴染むことはできなかった。
「故郷に帰って父の会社で働こうと決心したのは32歳のことでした。社長である父親の背中を追いかけながら、住宅の建築現場での仕事を手伝い、住宅展示場でベテランの営業の人たちといっしょにお客様の声に耳を傾けました」。
そこで気づいたのは、白石建設が地元で信頼される理由は誠実で丁寧な仕事ぶりであるということ。そして、これが社風として社員全員に行きわたっているということだった。しかし、同時に、大小問わず県内外からのライバル進出、少子高齢化による人口減という将来への懸念も感じずにはいられなかった。実際に、地元である桐生・太田市周辺地域の住宅着工件数は減少しており、それにもかかわらず競合他社が次々に幹線道路沿いにモデルハウスを開設したり、あちこちで建売分譲を展開したりして積極的な営業活動を展開するようになっていた。

白石建設の社長として難しい経営の舵取りを任される
約二年前、47歳の時に先代を引き継いで白石建設の社長に就任した。難しい経営の舵取りを任された形だった。数年前から事業承継することを見越して、白石典之社長は会社の強みをどこに求めるかという課題について考察していたという。
「白石建設は木にこだわった家づくりでお客様と一緒に夢を叶えるお手伝いをしてきました。時代が移り変わったとしても、いい家に求められる普遍的な定義は「基本性能」だと私は考えました。そして、明日の住まいを設計する当社のモデルプランとして「スーパーウォール工法住宅」を打ち出すことにしました」。
「スーパーウォール工法住宅」は、天井・壁・床が一体化したモノコック構造で魔法瓶のような断熱・気密性能、耐震性能があり、これに「全館空調YUCACOシステム」による高性能な空調・換気システムを搭載することで、夏は涼しく冬は暖かく、24時間換気で部屋の空気がいつでもクリーンに保つことができ、しかも光熱費にかかわるランニングコストが格安というメリットもある。
2019年に太田市の住宅展示場にモデルハウスを開設して、白石典之社長が自ら先頭に立って営業して堅実な実 績を上げてきた。ところが、会社の業績を支えるベテランの営業メンバーから「安くなければ売れない」という声が上がってきた。スーパーウォール工法と言い、YUCACOシステムと言い、住まいの快適性・耐震・省エネなどに関心の高い方はくわしく話を聞いてくれるが、フルスペック仕様になると建築費用もかなり高額になってしまう。
ここで、白石典之社長は基本性能を犠牲にせずコストを抑えるために新たな決断をする。昨年春、住宅フランチャイズを展開するエースホームに加盟して、本年(2024年)4月「モデルハウス『NOON』(ZEH)」をオープンした。ZEH(ゼッチ)とはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのこと。若いファミリー層にも手が届く価格帯のコンパクトな設計ながら、デザイン性が高く、スペースパフォーマンスも優れており、しかも省エネ・快適性能としてHEAT20 G2をクリアする断熱仕様、耐震等級3の高い耐震性を備え、6. 8kWの太陽光発電パネルを搭載している。


明日の住まいの「基本性能」を追求する家づくり集団
これにより、明日の住まいに求められる「基本性能」において、白石建設は群馬県県内でも傑出した存在になったと言える。
2024年4月現在の社員数は16名。建築営業3名、設計4名、大工1名、パート4名、このほか経理・総務・広報ほかの担当に分かれているが、社長をはじめいくつかの仕事を兼務しており、結束力の高い家づくり集団ということができる。
木住協については、10年ほど前に省令準耐火の優遇制度が改定された時期に、木住協の特記仕様書に真壁和室 仕様が追加承認されているのを知り、これをきっかけに加入を決めた。木にこだわった家づくりをしているため、それ以降もいろいろな制度を活用して役立っているとのこと。
白石典之社長のプライベートは、奥様と中二・小五・小三の男の子3人の5人暮らし。土日も仕事で忙しく普段は 家族サービスがあまりできないので、年末年始や夏休みに、学生時代を過ごした京都や奥様の実家のある山口県に家族旅行をするのが楽しみであると言う。
最後に、白石典之社長に将来への抱負を伺った。
「近年では、賃貸住宅や店舗、小規模オフィスにも環境基準と快適性を志向する傾向が強くなってきているように感じます。今後は不動産の総合窓口として、会社の寮や高性能賃貸アパートの提供のほかに、非住宅分野への事業も推し進めていきたいと考えています」。最高水準まで高めた暮らしの性能……、白石建設の明日の住まいづくりへの挑戦はいよいよ本格始動したばかりである。将来の活躍に期待したい。



ピカイチ社員
営業部 部長澤田 隆 氏
入社の経緯と現在の業務内容は?
28歳の時に地元のゴルフ練習場の仕事を辞めて、太田市の職業安定所で白石建設の面接を受けるように勧められたのがきっかけです。住宅建築業界は初めてなので、最初の一年は現場の片付けや清掃をやって勉強させてもらいました。その後は、県の分譲地にへばりついてお客様へお声掛けをする日々……、後は先代の社長に同行してもらうのですが、お客様のお話を伺いながら、その場でプランをまとめ、簡単な図面まで作成してしまうという、それは見事なもので、自分も営業の仕事をやりたいと強く思うようになりました。
うれしかったことや成功事例は?
一件目が決まった時は右も左もわからずビギナーズラックみたいなところがありましたが、二件目の成約の時は、お客様から「澤田君、あなたに決めるよ」と言われて、帰りのクルマの中でガッツポーズをしたくらい、うれしかった記憶があります。その方は亡くなってしまいましたが、最初の何年かはお墓にそれとなく花を置いたりしてきました。私のこれまでの営業人生を振り返ると、やはりお客様に鍛えられたという実感があります。
仕事でこころがけていることは?
ひたすら誠実であれ!ということです。お客様がどうしたいのか、まずは耳を傾けることから始めたいと思っています。お客様の考えが必ずしも正しいとは限らないですが、押し付けがましくならないように、できるだけやんわりとお話を進めるのも誠実さだと思います。とはいえ、成約できなかったお客様には、あの時何が悪かったのか?もう少しこうすれば良かったのかな?とつねに思います。その時その時、迷いながら何はともあれ、誠実でありたいと思っています。
将来の夢は?
将来の夢といえるかどうかはわかりませんが、とにかく仕事が取りたいですね。会社が年間30棟、35棟やっていた勢いのある景色を皆でもう一度見てみたいという気持ちが強いです。営業の仕事は達成感があります。いくら忙しくても働きがいがあります。そんな思いを会社全体で共有できる絶頂期がもう一度くれば良いなぁ、と思っています。
株式会社 白石建設のこだわりPOINT
長年の経験とノウハウに先進性を加えて
家族にとって本当に過ごしやすい
明日の住まいを提案する
社長のひとこと
いい家に求められる普遍的な定義は「基本性能」
群馬県でも傑出した家づくり集団をめざしたい

会社情報
会社概要
| 社名 | 株式会社 白石建設 | 
|---|---|
| 代表取締役 | 白石 典之 | 
| 所在地 | 〒379-2304 群馬県太田市大原町108 | 
| 電話 | 0277-78-2819 | 
会社沿革
| 1946年3月 | 創業 | 
|---|---|
| 1973年6月 | 会社設立 | 
| 1998年10月 | 上毛新聞マイホームプラザ 桐生展示場出展 | 
| 2003年4月 | 上毛新聞マイホームプラザ 新太田会場出展 | 
| 2007年7月 | TBSハウジング新太田会場出展 | 
| 2011年4月 | 上毛新聞マイホームプラザ 太田住宅公園出展 | 
| 2014年11月 | TBSハウジング イオンモール太田会場出展 | 
| 2019年1月 | 上毛新聞マイホームプラザ FunLab出展 | 
| 2024年4月 | モデルハウス『NOON』 オープン | 
事業内容
新築工事・リフォーム工事



