
「電気火災と感震ブレーカー ~なかなか上がらない普及率~」
河村電器産業 株式会社
コーポレートコミュニケーション部
販促企画課長 坂元友樹氏が、
「電気火災と感震ブレーカー~なかなか上がらない普及率~」について発表

1.会社概要
本日は「感震ブレーカー」について説明いたします。しばしば「感電ブレーカー」と間違われるのですが、感電ではなく「感震」です。本日は誤解されやすい点も含めて、感震ブレーカーについて歴史的背景とともにご説明いたします。
弊社・河村電器産業株式会社は 1919 年創業で、今年で 106 年を迎えました。本社は「セトモノ」で有名な愛知県瀬戸市にあります。電気設備製品を中心に、分電盤や宅配 ボックス、防災関連のコンセント・ブレーカー、EV 充電器などを製造していますが、なかでもキュービクルは業界トップシェアを誇っています。
2.感震ブレーカーとは何か
感震ブレーカーは、揺れを感知して自動的に電気を遮断する装置です。揺れを感知する機器を「感震リレー」と呼び、揺れるとブレーカーに信号を送り電気を遮断します。
感震ブレーカーという独立した機器は存在 せず、感震リレーとブレーカーを組み合わせた仕組みを総称して呼んでいます。
(見かけとして一体化された機器は存在します)
種類は以下の 4 つに分類されます。
- 分電盤内蔵型
- 分電盤後付け型(弊社で最も普及しているタイプ)
- コンセント型
- 簡易型(重りやバネを利用)


弊社は電子センサー式を採用し、震度 5 強または震度 6 弱での作動や、遮断時間を即時、1 分、3 分から選択できます。また生活振動と地震を区別できる点も独自の特徴です。
3.感震ブレーカーの動作説明と通電火災の要因
感震ブレーカーの基本的な動作説明をいたします。
揺れを感知すると、主幹ブレーカーが 1 分後に落ち、家庭内の電気が遮断されます。


また、停電が先に起こった場合でも、復電時に直ちに電気を遮断する仕組みを備えており、復電火災を防ぐことができます。さらに夜間の避難行動をするための照明を残す二段階遮断機能など、安心・安全に配慮した工夫があります。
4.大震災と電気火災の歴史
歴史を振り返ると、関東大震災、福井地震、阪神淡路大震災、東日本大震災などで電気火災が多数発生しました。特に阪神淡路大震災以降、電気火災が半数以上を占めることが分かり、感震ブレーカー開発の契機となりました。
しかし現在でも設置率は 5~8%と低く、十分に普及していません。





5.普及活動と課題
弊社は防災イベント「ぼうさいこくたい」などで感震ブレーカーの普及活動を行っています。しかし認知度は依然として低く、費用負担も普及を妨げる要因となっています。自治体による補助金制度は拡大しつつありますが、さらなる認知度向上が課題です。


6.アンケート結果
2025 年 2 月に実施したアンケートによると、新築時に電気火災を意識した方は約半数でした。感震ブレーカーの存在を知ると 8 割の方が導入を好意的に考えましたが、価格を知ると 4 割に減少しました。
このことから経済的支援と認知向上が普及に不可欠と考えられます。
私は広報部門の立場から、この製品をより多くの方に知っていただきたいと考えています。特に新築時に標準化して導入することや、補助金を活用した導入が効果的ではないかと考えています。関係者の皆様にはぜひ普及活動にご協力いただき、一人でも多くの命や財産を守れるよう力を合わせたいと願っております。




