「防災瓦・防災のし冠工法・らく棟シート」
株式会社 鶴弥
株式会社 鶴弥
開発部 課長補佐 石川俊樹氏が
『防災瓦・防災のし冠工法・らく棟シート」について発表

1.会社概要と瓦の基本説明 https://www.try110.com/
弊社は愛知県半田市、知多半島の基部地域に本社を構えており、創業はおよそ140年前となります。近隣では古くから粘土瓦の生産が盛んで、三州瓦と呼ばれ1,100℃以上の高温で焼成した瓦が国内外に流通しております。
粘土瓦は「釉薬陶器瓦」、「いぶし瓦」、「無釉瓦」、「塩焼瓦」の総称です。
弊社は釉薬陶器瓦のメーカーで、平板タイプの洋風瓦(F形)と和風瓦(J形)を生産しております。
釉薬陶器瓦は、乾燥させた粘土素地に釉薬をかけて焼き上げたもので、耐久性や美観に優れています。
いぶし瓦は寺社仏閣などにも用いられ、焼成後に専用設備を用いて炭素膜をコーティングします。いぶし銀の色調で多くのお城に施工されています。
塩を用いて釉薬色調を醸し出す塩焼き瓦は今ではほとんど見かけなくなりました。
現在、日本国内の瓦の産地は大きく三つに分かれています。
愛知県の三州瓦、二つ目は淡路島の淡路瓦、そして三つ目は島根県の石州瓦です。
それぞれの瓦に特徴があり、用途や地域によって選ばれています。
産地 |
主製品 |
焼成温度 |
三州瓦 |
釉薬陶器瓦 |
約1130℃ |
淡路瓦 |
いぶし瓦 |
約1000度 |
石州瓦 |
釉薬陶器瓦 |
約1250℃ |
釉薬陶器瓦は「木住協の高耐久WG」でも紹介させて頂いた通り、ライフサイクルの長い建材です。奈良県のお寺には約1400年前の瓦が今も現役で使われているそうです。
また、高温で焼成されている事から不燃材の大臣認定を受けています。
(※建設省告示第1400号に定められています)
2.防災瓦について
防災瓦とは、隣接する瓦同士がかみ合う機能を有する瓦の総称です。台風や地震などの災害に強い特性を持っています。
防災瓦とは、隣接する瓦同士がかみ合う機能を有する瓦の総称です。台風や地震などの災害に強い特性を持っています。
弊社は約27年前の大きな台風被害をきっかけに、飛ばない瓦の開発を始めました。
最初に開発されたのはF形で、千鳥葺きにロック機構(ハイパーアーム)を組み合わせることで、屋根全体を一体化させる仕組みを実現しました。
この防災瓦は実際に強風や地震を想定した試験を経て、その性能が確認されています。「スーパートライ110」名称は耐風速110mが由来と先輩から聞いています。
(試験当時の耐風速換算式によるもので現在の構造計算及び試験方法とは異なります)
近年の大きな台風の被災状況を鑑み、令和4年に行政が瓦の施工基準を改定しました。各地域には基準風速が定められており、防災機能を持つ瓦はすべての地域で釘等一本による固定で施工可能とされています。
一方、防災機能を持たない瓦は地域によって制約があり、基準風速が38mを超える地域では使用できません。また、軒先や棟部分では追加の固定が求められています。 詳細はhttps://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001387862.pdf
3.瓦の製造工程
桟瓦生産工程は全自動です。
まず成分調整した粘土を真空ドレン機で空気を抜きながら板状に押し出し、プレス成形します。
その後、乾燥炉で水分を完全に取り除き、釉薬をかけ1130℃で焼成します。
焼成工程はワイドトンネルキルンを用いて大型台車に瓦を自立焼成する方式を採用しており、燃料効率が高く、環境に配慮した設計です。
最後に目視検査とAIカメラによる検査(現在試験導入中)を行い、自動梱包・出荷されます。
阿久比工場の生産能力は1ラインで1,200,000枚/月、3ラインフル操業すると3,600,000枚/月の能力を有し、住宅に換算すると約3,000棟/月に相当します。
4.防災のし冠工法と災害対応製品
震災時に棟部分が崩れるリスクを軽減する『のし瓦』や、応急対応が可能な『らく棟シート』を製品化しました。
大棟の役瓦についても防災機能を持つ工法を開発しました。専用軽量瓦の開発と漆喰、南蛮などを用いた湿式工法を乾式工法にする事で、耐震+軽量+作業性アップを実現しました。地震では棟部だけが被災する場合も多く、震災後の補修部材として検討ください。
震災後の屋根に敏速、安全に応急対応が可能な『らく棟シート』を開発しました。自治体や施工業者に事前配備することで、迅速な対応を可能にします。
弊社は北海道から鹿児島まで施工店ネットワークを持ち、大規模災害時には復旧支援のお手伝いをさせて頂いた実績がございます。
鶴弥の防災瓦は、強風や地震に強い安全性と、長寿命・美観を兼ね備えた屋根材です。
試験データでも高い耐久性と遮熱性、防水性能が確認されており、安心してご採用いただける製品です。是非ご検討下さい。