高気密・高断熱・高耐久で、
世界基準の家づくり
ヤマト住建株式会社(兵庫県)
代表取締役社長中川 泰 氏
兵庫県をルーツとし、近畿・関東・中国・中部に営業所を展開するヤマト住建㈱。健康快適、高気密高断熱、そして高い耐震性とコストパフォーマンス。これらを高次元で融合させた「世界基準の家」をスローガンに、近年業績を急伸させている。創業は1987年。不動産仲介業や建売分譲事業、マンション開発など、住宅・建築に係る幅広い事業を手掛けてきたが、2007年、本格的に木造注文住宅に参入するとともに業績は急伸。2017年には売上高100億円を達成している。さらに、省エネルギー性能の優れた住宅を表彰する『ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー』では9期連続の受賞(うち2度の大賞)を果たすなど、その住宅性能は各方面からの評価も高い。いま、勢いのある木造注文住宅メーカー、ヤマト住建㈱の家づくりとはいかなるものか、代表取締役社長の中川氏に話を聞いた。
はじまりは、「健康快適」
健康快適にこだわったヤマト住建の住まい。無垢床材など、自然素材を用いて心地よい空間を生み出している。
ヤマト住建㈱が取り組む家づくり、その特徴のひとつに、「健康・快適」へのこだわりがあげられる。そのはじまりは、木造注文住宅事業の第一歩として2001年に発売した健康快適住宅『木の家オアシス』だった。人にやさしい空間づくりを目指し、床や壁、建具に天然無垢材や自然素材を使用した健康的且つ快適な住宅で、一般的な家族の健全な暮らしを支えるだけでなく、シックハウス症候群の予防やアトピー性皮膚炎の症状低減にも貢献する住まいだった。木の家オアシスはその性能とコストパフォーマンスの高さで好評となり、同社は業績を順調に伸ばしていった。
「健康快適住宅『木の家オアシス』は、重度のアトピー性皮膚炎を患ったお子様がいるお客様のお声がきっかけで開発されました。その頃TVや新聞で話題になっていた「シックハウス」になられたお客様も、他社のモデルハウスでは5分も家の中にいられないのに、『木の家オアシス』のモデルハウスでは、ゆっくりご見学いただくことができました。当社ではその経験を大切にし、現在でも健康快適な家づくりにこだわり続けています。」
『木の家オアシス』の成功によって順調に業績を伸ばした同社は、2007年に気密性・断熱性にこだわった外張り断熱住宅『エネージュ』シリーズを発売する。
外張り断熱は、家全体を断熱材で包み込む断熱施工法で、これを採用することで冷暖房効率が高まり、住宅内の温度変化を最小限に抑えられる。これにより、居住時の快適性はもちろん、住まい手の健康にも良い影響を与えるという。血圧の乱高下を抑え、脳出血や心筋梗塞を引き起こすヒートショックの防止に貢献するというものだ。
「当社の気密性・断熱性はZEH基準を越えるほど高性能に設定しているため、経営的に見れば多くのコストをかけることになります。企画開発時にはコスト増への疑問の声もあったことは事実です。しかし、高気密・高断熱という性能は、さらなる健康・快適な家づくりのために不可欠と信じて発売に踏み切りしました。今では当社の欠かせない特徴になっています。」
現在では、気密性・断熱性以外にも、快適な空気環境をかなえる24時間換気システムの導入や、ルームエアコン1台で全館空調が可能な「YUCACOシステム」を導入している。「YUCACOシステム」は東京大学名誉教授でもある坂本雄三先生が推薦する、学術的にも高効率が証明された画期的なシステムらしい。こうした取り組みにより、ヤマト住建㈱の健康快適へのこだわりは、同社の確かな差別化ポイントとして確立されているようだ。
住宅密集地で好評の屋上庭園。この他、女性目線で企画した家事動線・収納配慮商品など、トレンドを押さえた商品を展開している。
安心・安全への取組み
健康快適、そして高気密・高断熱。それに加え、ヤマト住建㈱は耐震性にも強いこだわりを持っている。木造軸組工法に金物工法、パネル工法を組み合わせた構造で耐震性を高めるとともに、油圧制御方式の制振装置 「evoltz(エヴォルツ)」を採用することで、高い耐震・制震性を実現している。想定を超える災害が頻発する現代、常に最新の技術を取り入れて住まいの性能をアップデートし続ける姿勢が伺えるが、こうしたこだわりには、創業者の経験が色濃く影響しているという。 「現会長が幼少期に第二室戸台風を経験し、自宅が倒壊するかもしれないという恐怖を味わったそうです。その経験から“頑丈で何があってもビクともしない家”の必要性を実感し、それが現在の事業につながっていったと聞いています。」
また、ヤマト住建㈱は、自社の快適性と耐震性の高い住まいに、さらに「長寿命」や「資産価値の高さ」といった付加価値を与えることにより、「世界基準の家づくり」といったスローガンを掲げている。本誌読者ならご存知だろうが、我が国の住宅平均寿命は3 0年程度で、100年以上住まう欧州と比べて非常に短いとされている。今後はわが国も住宅の高性能化・長寿命化にむかうことは、住宅業界共通の認識といっていい。そうした時代の流れに沿った、長く安心して快適に暮らせる住まいを、同社では「世界基準」という言葉に託しているようだ。
阪神淡路大震災の経験
兵庫を拠点とするヤマト住建㈱は、1995年に起きた阪神淡路大震災を経験している。兵庫県を中心に甚大な被害をもたらした巨大地震であったが、同社の施工物件に全壊・半壊はゼロだったという。
「当社の物件に全壊・半壊が無かったこと、社員に犠牲者は出なかったことは、不幸中の幸いでした。しかし社員の中には、家を失った者も多く、会長の自宅に泊めるなど、非常時ならではの対応をしました。もともと耐震性や各種性能には強いこだわりを持って取り組んでいましたが、阪神淡路大震災をきっかけに、さらに重要視するようになったと思います。」
また、震災の経験から、ヤマト住建は災害復興ボランティアにも積極的だ。北海道胆振東部地震や熊本地震の際も若手を派遣して、災害復旧に尽力したという。
「阪神淡路大震災の経験で、震災のつらさや大変さは多くのスタッフが身に染みてわかっています。だからこそボランティアで貢献することは当社の使命だと考えています。何より、家づくりをする会社ですから、震災復興作業には様々な面でお役に建てますからね。家屋を解体するにしても、住宅の基礎知識があるとないとでは作業効率や安全性がまるで違います。」
また、若手を向かわせることで、本業である家づくりに対する姿勢もガラリと変わるという。災害の現場に身を置き、リアルにその被害を体感することで、自らが建てる住まいの大切さを再認識するそうだ。かけがえのない家族を守る重要な空間だからこそ、決して妥協はできない。震災復興ボランティアを経験してこそ、色々と学ぶことも多いようだ。
一般家庭にもZEHの波を
そんなヤマト住建㈱が2 0 1 8 年に発売した新商品、『未来の子どもたちのために地球環境を守る家』が注目されている。これまでに培ってきた高気密・高断熱な家づくりの技術をベースに、太陽光発電やV2 H(Veh icle t oHome)システム、全館空調システムなど、様々な最新設備を取り入れたZEH(Net Z ero Energy House-ゼロエネルギーハウス-)商品だ。
これまでも大手住宅メーカーからZEH商品は発売されてきたが、ヤマト住建㈱のZEHは電気自動車と住宅の連動性や蓄電容量などがさらに高まり、家庭内のエネルギー利用が従来以上に便利に、快適に進化しているという。そのうえ、業界屈指のコストパフォーマンスも実現している。2018年5月には茨城県にモデルハウスを建て、現在では大阪、岡山にもオープン。今後さらに神戸や愛知にも建設する予定だそうだ。
「これまでのZEHは、太陽光発電の余剰電力を売電に回すことが主流でした。しかし、FI T(太陽光発電電力の固定価格買取制度)の金額が年々下落し、売電のメリットは減少しています。今後は“売電”よりも“自家消費”が重要性になってくるはずです。日中に作った電気を電気自動車に貯めておき、家族が帰宅し電気使用量が増加する夜に使うという暮らしに変化していくのではないでしょうか。」
そうしたライフスタイルを支えるのは、ヤマト住建の高気密・高断熱な住宅の省エネ性能と、V2Hで接続される電気自動車の大容量蓄電池というわけだ。
「今後、ZEHが普及していくことは間違いありません。しかし、将来的には電気自動車の発展に伴いZEHはさらに進化して、電力網から自立したオフグリッド住宅が登場してくると思います。」
業界に先駆けて高性能かつ低価格なZEH商品を実現した中川社長だが、その目はさらにその先を見据えているようだ。こうした最新技術やトレンドへの高いアンテナこそ、ヤマト住建㈱が魅力的な商品を提供し続けられる秘訣なのかもしれない。
電気自動車LEAFと住まいをつなぐV2Hシステム使用イメージ。LEAFの大容量蓄電池を利用することで、住宅内で使用する多くの家電を稼働させることができる。
リビングのテレビモニターでは、住宅内のエネルギー利用状況を確認できる。
2018年に発売した『未来の子どもたちのために地球環境を守る家』高気密・高断熱な住まいに様々な最新機器が接続され、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになる暮らしを実現している。
ヤマト住建㈱の使命
最後に、中川社長には今後の展望について伺った。
「今後はさらに、IOTなどの最新技術の取り入れ方を探るなど、常に時代の流れに敏感であり続けたいと考えています。また、高齢化の時代ですから、お住まいになる方の健康に配慮したウェルネス住宅の発展などにも取り組んでいきたいと考えています。」
今後も時代の流れを読みつづけ、最新技術に挑戦していきたいと語ってくれた中川社長だが、流行に乗るだけではない、ヤマト住建㈱ならではの価値を創造することが大切と考えているらしい。
「最新技術を活かした住まいは大手住宅メーカーもどんどん開発していくでしょう。当社にはそういったものをより実用的に、そしてさらに低コストで実現するという役割があると考えています。もともと、高性能な住宅をお手頃価格でご提供し続けてきた当社だからこそ、最新技術を追うだけでなく、それを実際に取り入れやすくし、次の時代の“当たり前”にしていくことが、当社の使命ではないでしょうか。」
人に、環境にやさしい近未来のライフスタイルを、実現可能なリアルプランへと昇華させていく。ヤマト住建㈱の理想はそうしたところにあるようだ。
今回の取材中、中川社長の言葉には、しばしば「使命」という表現が現れた。会社とは、事業を成功させることはもちろん、事業活動を通じて豊かな社会づくりに貢献するという役割も担っている……そんな高い意識が表れているようだ。
ピカイチ社員
武庫之荘店 店長 エリアマネージャー尾池 純 氏
お仕事内容は?
店長・エリアマネージャーです。店舗のマネジメント業務を任せてもらいつつ、プレイングマネージャーとして今でも現役で営業させてもらっています。
お仕事の上で工夫している点は?
営業面では、お客様に家づくりの概念を変えてもらえるように啓発しています。これだけ高気密・高断熱化が進み、様々な設備が登場している住宅業界ですが、お客様は実際の暮らしにまでイメージが及んでおらず、結局はパッと見のデザインや価格を気にされがちです。そこで、性能の良い家に住むとどんなに快適性や経済性が変わるのかをしっかりご説明するようにしているんです。そこさえ理解してもらえれば、これだけ高性能でコストパフォーマンスが高い当社の家以外の選択肢はないとまで思ってもらえるので、契約の確率はグッと高まりますね。
マネジメント面では、些細なことでも相談してもらいやすい雰囲気づくりを重要視しています。私自身もそうですが、人それぞれ得手不得手があるのは当たり前ですから、それぞれが得意な分野でメンバーを補い合いながら仕事をすることが大切だと考えています。時には商談に同席したり、相談に乗ったり、雑談をしたり、オープンな雰囲気をつくることで、支店の成績も急激に伸びています。
お仕事のやりがいは?
当社は成果を出すとすぐに評価してもらえるので、やりがいを感じやすいと思います。私は中途入社なのですが、数年で店長に昇進できました。実はもともと独立することを目標にしていたのですが……。やればやるほど評価してもらえる体制に満足していることと、当社に対して、今後大きく成長する可能性を感じていることから、今ではヤマト住建㈱でしっかりと頑張っていきたいと考えるようになりました。もっと成果を出して、早い段階で役員になりたい、会社そのもののマネジメントも学んでいきたい。それが今の目標ですね。
ヤマト住建㈱のこだわりPOINT
日本の住宅を世界基準に
社長のひとこと
日本の住宅を世界基準レベルの性能に引き上げ、
皆様が健康で快適に暮らせるように導くことを使命とします。
会社情報
会社概要
社名 | ヤマト住建株式会社 |
---|---|
代表取締役社長 | 中川 泰 |
本社 | 〒651-0083 神戸市中央区浜辺通5丁目1番14号 神戸商工貿易センタービル18階 |
電話 | 078-230-0600 |
FAX | 078-230-0660 |
ホームページ | https://www.yamatojk.co.jp/ |
会社沿革
1987年 11月 | 神戸市灘区にて「ヤマト住建」創業 |
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1990年 1月 | 組織変更・法人設立 社名「ヤマト住建株式会社」 |
1993年 5月 | 新築一戸建分譲住宅事業開始 |
1995年 1月 | 阪神大震災 障害者救済ボランティア活動参加 |
2001年 2月 | 人に優しい健康快適住宅「木の家オアシス」開発 |
2007年 12月 | 外断熱工法住宅「エネージュ」開発 |
2009年 4月 | 「エネージュ」が住宅型式性能認定を取得 |
2015年 2月 | 「エネージュUW」がハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2014にて 大賞・優秀企業賞をダブル受賞 |
2017年 2月 | 「エネージュUW-Y」がハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2017にて 大賞・特別優秀企業賞をダブル受賞 |
事業内容
注文住宅事業/分譲住宅事業/不動産流通事業/リフォーム事業/中古住宅買取再生事業
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