日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいづくりのトレンドセミナー

「急拡大するZEH」をテーマに 小山エコワークス(株)社長を招きトレンド情報セミナー

資材・流通委員会が開催

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資材・流通委員会(長谷川賢司委員長)は、国が2020年度に普及率50%を目指し、大手住宅メーカーだけでなくビルダーや中小工務店の間でも施工事例が増加しているZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について、小山貴史・エコワークス㈱代表取締役社長(当協会1種会員、(一社)JBN(全国工務店協会)のZEH委員会委員長)を講師に招き、「急拡大するZEH~パリ協定が住宅業界に与える衝撃~」をテーマに「住まいづくりの最新・トレンド情報セミナー」を開催しました。今回のセミナーには約40人の委員が出席。小山社長はZEHの普及によってゼロ炭素社会の実現に近づき、一般消費者の経済的メリットも大きく、住宅業界にとっても①住宅の高断熱化により1億総活躍社会に貢献する、②ZEH産業は国際競争力のある輸出産業になる、③ビルダーや工務店の地域産業の活性化で地方創生にもつながる――と普及効果が大きいことを説明しました。その一方で普及への阻害要因として、「一般消費者に太陽光発電のメリットなどを十分に説明できないビルダーや工務店も多い」と語り、各種セミナーなどを通じて意識改革の必要性を強調しました。

小山社長は、一昨年のCOP21で「パリ協定」が採択された際に開催された関連ビジネス会合に参加し、気候変動リスクや世界各国の環境動向などをつぶさに見学してきました。パリ協定では、①世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えることを目指す、②今世紀後半の温暖化ガス排出について実質ゼロを目指す、③各国は温暖化ガス削減目標を設定し、5年ごとに検証・見直しする――ことが盛り込まれましたが、これらの具体策は明確なものになっておらず、現状では実現が危ぶまれています。

こうした中で、小山社長は「住宅の断熱化や省エネ化が温暖化ガスの排出抑止に大きく貢献する」と述べ、ZEHの普及を加速する必要性を強調しました。
パリ協定以降、二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量に応じて対価を支払ったり課税したりする「カーボンプライシング」が顕著となり、「省エネ誘導水準の引き上げ」による住宅の省エネ化の加速などが今後の住まいづくりに大きな影響を与えるものとなっています。小山社長は、世界各国のカーボンプライシングの現状を紹介。スウェーデンは世界最高額の1トンあたり15600円の炭素税が排出企業に義務付けられているのに対し、日本では石油石炭税や地球温暖化対策税として二酸化炭素排出1トンあたり約1000円にとどまっており、「世界各国の企業が先手を打ってカーボンプライシングに対応しようという動きが始まっている。
二酸化炭素排出への課税が最も有効な温暖化対策で、わが国でも課税強化に向けた動きも散見される」と述べました。さらに「新築時に省エネ性能の高い住宅を建設すれば、今後、平均70年間の温室効果ガスの排出を削減することが可能」と強調し、ゼロ炭素社会の実現に向けた住宅供給が重要になり、一層のZEHの普及によってパリ協定の実現を図る必要性を訴えました。

2016年度は全国で約5万戸のZEHが建設

JBNは全国で約2800社のビルダーや工務店が加盟し、年間約30000棟を供給しています。2015(平成27)年にZEH委員会が設置され、ZEH事例集の発刊、自民党政務調査会へのZEH普及に向けた提言活動も行っています。
欧米では太陽光発電の普及は大規模ソーラーが中心で、小山社長によると家庭用太陽光発電の普及は日本よりは遅れているのが現状。ビジネス会合で建築関係者が集まったラウンドテーブルミーティングが開かれ、小山社長が「日本ではゼロエネルギー住宅の普及が始まっている」と説明すると、出席者から一様に驚きの声が上がったそうです。

わが国はZEH普及の先進国といわれて、小山社長は2016年度のZEH普及率を新築戸建て着工戸数の約10%、戸数換算で約5万戸と予測しています。このうち大手ハウスメーカーで約4万戸、工務店などで約1万戸を建設し、「2020年度のZEH普及率50%という国の目標に向け、取り組みが徐々に進んでいる」という認識を示しました。

自民党政務調査会との会合では、住宅の高断熱化で1億総活躍社会の構築に貢献する、ZEH産業はその技術力で輸出産業になる、ビルダーなど地域産業の活性化で地方創生にもつながる――ことを提言しており、小山社長は「新築戸建て市場は地域の工務店などが約8割を担う地域産業で、ZEHを供給することで工務店などが活性化する」と述べました。
ZEHビルダー登録社数も昨年10月現在で約3600社に増加しており、「2020年度までに供給戸数の過半数をZEHにしたい」と目標を設定しているZEHビルダーが約62%にも達していると推計されています。小山社長は「2020年度にZEH100%を目指す工務店ビルダーは現在の4倍強に相当する300社近くに達する見込み」と語り、工務店などがZEHの普及に注力している現状を説明しました。

一層の普及を目指しシミュレーション作成や全国規模のセミナー開催

小山社長は「ZEHビルダー登録社が増え、着工が増加すれば政府が目標としている2020年度のZEH普及率50%は達成できる見通しになっている」と語る一方で、「一層の普及を図るためには、太陽光発電などの阻害要因を解消する必要がある」と述べました。会員を対象に実施したヒアリング調査では、工務店業界から見た太陽光発電の普及の阻害要因として――

・工務店業界が太陽光発電の経済メリットを一般消費者に提案できない。

・太陽光パネルを搭載する際の設備アレルギーやデザインアレルギー。

・日本海側での日照不足や都心部での屋根面積の狭小化に伴い経済メリットが少ない、寒冷地ではZEHにするための大容量搭載が必要という地域的課題。

・国の施策に対する無理解。

――という「4つの課題が浮かび上がってきた」と語りました。

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このためZEH委員会では、経済メリットが一目で分かるシミュレーションを作成して簡便に邸別での実質家計収支を提案できるようにしたほか、経済メリットをどのようにして一般消費者に正確に伝えるかに焦点を当てた全国規模のセミナーを開催することにしており、小山社長は最後に「ZEHの普及に拍車をかけ、ゼロ炭素社会の実現を目指したい。ZEHは地域のビルダーや工務店が生き残る策の一つ」と述べました。

因みに小山社長が代表取締役社長を務めるエコワークス株式会社(本社=福岡市、資本金3000万円)では、高性能樹脂サッシと東西北面にトリプルガラスを標準で採用し、パッシブ設計や省エネ機器・太陽光発電の採用など、全棟でZEHを標準提案しています。2016年度は受注棟数60棟のうち50棟がZEHとなる見込みで、2018年度には100棟を受注し、全棟をZEHで建設してZEH100%を目指すことにしています。

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