日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

「在来工法住宅への国産材の普及状況と課題」をテーマに 佐川・国産材製材協会会長を招きトレンド情報セミナー

資材・流通委員会が開催

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国産材の普及・促進が叫ばれているなか、資材・流通委員会(長谷川賢司委員長)は、佐川広興 国産材製材協会会長(協和木材㈱代表取締役)を招き、「在来工法住宅への国産材の普及状況と課題」をテーマにして、「住まいづくりの最新・トレンド情報セミナー」を開催しました。佐川会長は国内の林業・製材業の状況や木造軸組住宅への国産材の普及状況・課題を解説し、国産材活用に向けた促進策などを説明しました。

この中で佐川会長は、わが国の森林蓄積量が50億㎥以上に達し、「これらの国産材を活用すれば木材輸入をゼロにしても国内需要を十分に賄えることができる」と強調。さらに「集成管柱の国産材シフトや乾燥管柱・間柱を拡充、羽柄材等の生産拡充などを図って、自給率を向上させる必要がある」とも語りました。

佐川会長が代表取締役を務める協和木材は、福島県を中心に山林伐採や丸太販売、製材加工などを行う国産材の最大規模メーカーの1社で、年間約3万3000㎥の国産材集成材を生産しています。佐川会長は、国産材の現場を知る立場から山林や国産材の現状を詳細に説明し、参加した委員たちはわが国の山林の実情を神妙に聞き入っていました。

佐川会長によると、わが国の森林面積は国土面積の3分の2に相当する約2500万ヘクタールで、森林蓄積量も年間約9500万㎥ずつ増加して、2015(平成27)年には約51億㎥に達しています。森林の齢級構成では樹齢46年から50年以上の国産材が全体の51%を占め、樹齢が若い国産材が少ないなどアンバランスな状況が続いています。佐川会長は「各齢級の木材が均等しているのが理想ですが、このまま推移すると平成32年度末には樹齢46年から50年以上の国産材が約7割にも達してしまう」と述べ、国産材利用の積極化を強調しました。

林業就業者も2010(平成22)年現在で約5万1000人となり、一時期の減少傾向が下げ止まっていることを説明。35歳以下の若年就業者の比率も徐々にアップして18%を占めています。全国の製材工場のうち8%を占める「年間1万㎥以上」を消費する大型製材工場が原木消費量の67%を占めるなど、工場の大型化が進んでいます。その反面、小規模な製材工場が全体の62%を占め、生産性の低さにつながっているといいます。

佐川会長によると、用材の自給率は1960(昭和35)年以降、木材輸入の自由化や円高、低廉な外材価格などによって一貫して下降していましたが、2000(平成12)年の18.2%を底に徐々に上昇。国産資源の活用や環境配慮などから、2015(平成27)年には30.8%まで回復し、「何とか50%以上に高めたい」と語っています。平均的な木造軸組工法住宅の国産材利用(木材需要量)は、26%と約4分の1しか占めていません。
部位別で国産材が半数以上なのは土台の56%だけで、管柱37%、間柱47%、大引き41%、母屋28%、通し柱26%と低く、羽柄他が19%、横架材では8%と極端に低い国産材率となっています。この要因として「国産材の乾燥材の供給が不十分であったため」と分析しています。
集成材の供給量は全体で約239万㎥となっており、このうち国産材によって国内生産された集成材は16%に相当する約38万㎥と試算されています。全国の集成材工場では設備増強が進んでおり、佐川会長は「平成29年度までに約15万㎥の供給増加が見込まれます」と国産集成材が大量供給されるという見通しを明らかにしました。

迫られる低コスト化

国産材の自給率向上については、第1段階として
①集成管柱の国産材シフト
②檜と杉材による間柱・土台のセット提案
③乾燥管柱・間柱の拡充
――によって国産材比率を50%以上にアップさせ、第2段階では①羽柄材等の生産拡充②横架材への取り組み――
を行い、国産材活用を積極化する計画です。

しかし、国産材の安定供給にはスウェーデンやフィンランド、オーストリアなどと比較して作業コストが2倍から4.5倍も高く、普及への阻害要件になっています。こうしたことから、佐川会長は「わが国の地形に合わせた効率的な人員配置、林業機械を活用した作業システム導入による作業コストの低コスト化が必要」と語りました。安定供給に向けた取り組みでは、「原木流通の合理化が必要」と述べ、ストックヤードを活用して中間土場を設置し、零細な素材生産者や森林組合などから原木を集め、製材工場や集成材・合板工場などの用途に応じた原木供給を行う供給体制の確立が重要と指摘しました。また、製材工場や森林組合が取りまとめ役になって安定取引を実現して、素材生産業者と山林所有者を結ぶ施業プランナーの構築、就業者の育成や重機オペレーター育成なども重要になってきます。

国産材を普及させるためには

佐川会長は、国産材の普及には「国産材製材品の一層の品質向上と新たな需要喚起が必要」とも述べました。一般的に言われている「杉材は弱い」という点について、佐川会長は「基準強度をみると杉材の機械等級強度区分はE70で29.4N/㎟となっており、ベイマツやベイ栂のE110の30.6と比べて、ほぼ同じ強度を持ち、決して杉材が弱い訳ではない」と強調しました。芯材の耐久性でも杉や檜などは耐久性のある「D1樹種」に規格されているのに対し、外材のホワイトウッドやレッドウッドは薬剤処理が必要な「D2樹種」に規定され、「杉材は弱い」という考えを明確に否定しました。

その上で「外材を輸入すると輸送時のCO₂排出量が多く、欧州材では1㎥あたり132Kg-CO₂も排出します。国産材は輸送距離が短いため、16Kg-CO₂と少なく、住宅1棟分で1740Kg-CO₂、ガソリンに換算すると約760リットル分の削減量になります」と述べ、国産材利用が地球環境保全の立場から有意義であることを強調しました。

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最後に佐川会長は「国産材の普及には国民の理解が必要です」と語り、伐採から植林、育林というバランスの取れた森林資源の循環利用を行うことで、温暖化防止や木材産業を含めた国内産業の振興、山村地域の活性化に森林が貢献していることを訴えました。
その一環として「森林所有者による製材工場見学会、住宅メーカーと消費者参加による山の現場見学会など、川上と川中、川下の交流を通じて啓蒙活動を実施しており、今後もこうした活動を通して国民に国産材の良さをアピールし普及を進めたい」と述べました。

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