日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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第三回 「太陽光発電の提案」(博進)

初めて採用した「きよみ野彩's」地球環境問題が深刻化する中で、住宅部門におけるCO2削減の有効策の一つとして注目されているのが太陽光発電システム。05年度で打ち切られていた国の補助制度も復活され、導入の支援体制が整った。今回紹介する株式会社博進(本社=埼玉県越谷市、長谷川透社長、資本金2500万円、1種B正会員)は、分譲住宅の供給で積極的に太陽光発電システムを採用している。これまでに搭載した住宅は232棟にも達し、木住協の会員の中では群を抜く多さを誇っている。

博進は今年10月1日に設立40周年を迎えた老舗企業である。同社が太陽光発電システムを導入したのは、平成13年6月に発表した分譲住宅「コスモタウンきよみ野彩’s」(所在地=埼玉県吉川市、販売戸数79棟)が初めて。全戸に太陽光発電システムを標準仕様で導入した。導入には、それなりの理由があった。もともと博進は埼玉県東部の東武伊勢崎沿線の越谷や草加、春日部市周辺で一戸建て分譲住宅を販売していた。ところが「コスモタウンきよみ野彩’s」のある吉川市は、商圏としている東武伊勢崎沿線ではなく、どちらかというとJR武蔵野線沿線に近いエリア。当時、周辺ではまだ博進の知名度は低く、進出するにあたって話題性のある分譲住宅とする必要に迫られていた。渡辺浩康・取締役建設部部長は「そこで導き出したコンセプトが太陽光発電システムでした。環境問題が叫ばれ始めた時期で、話題性に富み、他社との差別化も図れると考え、太陽光発電システムの採用を決めました」と語る。

市場性分析し2KWタイプ導入

渡辺 浩康 取締役建設部部長短期間に232棟の太陽光住宅供給

採用した太陽光発電システムは3kwの屋根一体型システム。システムの導入コストは1棟あたり約200万円だが、年間5万円から10万円の売電収入が見込めるほか、需要層が30歳代を中心にした環境問題に敏感な一次取得者層だったこと、敷地も45坪以上を確保して充分な空地率をもたせ、開放的な街なみを実現したことも加わって、数期に分けた分譲で全79棟は即日完売した。当時としてはわが国最大規模の太陽光発電タウンとして、一躍脚光を浴びた。

その後、松伏町の「コスモタウンゆめみ野彩’sリヒトパーチェ」(87棟)や越谷市の「せんげん台彩の路」(25棟)などでオール電化仕様も併設し、矢継ぎ早に太陽光発電システムを採用してきた。これまでに太陽光発電システムを搭載した分譲住宅は地域ナンバー1の累計232棟(一部請負も含む)にもなった。オール電化住宅仕様も700棟を供給しており、分譲住宅を通してCO2削減に大きく貢献している。「きよみ野彩’s」の年間発電電力量は、実測で200000kwh。一世帯あたり約2600kwhを発電し、約800キログラムのCO2を削減した計算だ。これを森林に換算すると、25メートルのプール4個分を森林に変えたことになるという。このような博進の環境保全に対する取り組みが評価され、平成15年に第7回新エネルギー大賞部門で経済産業省資源エネルギー庁長官賞を受賞、翌年には埼玉県から第5回さいたま環境賞・彩の国エコアップ大賞も受賞した。

屋根一体型のモジュール採用

博進では搭載する太陽光発電システムに、強い「こだわり」を持っている。その1つは「屋根一体型」の太陽電池モジュール(集光板)を採用していること。モジュールには夏場の高温時に効率ダウンが少なく、最先端の「アルモファスシリコン」を取り入れた。渡辺部長は「屋根一体型のシステムを採用することにより、切妻屋根に太陽電池モジュールが目立たずにスッキリとした外観となりました。加えて屋根施工も二度手間にならず、屋根一体型のメリットは非常に大きいものがあります」と強調する。発電能力についても「こだわり」を持ち、2kwタイプのシステムを導入している。敷地が広かった「きよみ野彩’s」以降は2kwを標準に切り換えた。渡辺部長は「本来なら3kwを載せたいのですが、3kwを採用するためには屋根形状を変えたり、デザインを変更することが必要になります」と語る。

家庭内の電力を全て太陽光システムで賄うには5kwの発電能力が必要になるといわれているが、これでは50坪以上の面積が必要になる。博進の需要層の大半は30歳代の一次取得者。50坪以上となると販売価格が高額になってしまい、一次取得者では手が届かなくなる。試行錯誤を続けた結果、最も適切な発電能力を2kwと算出した、という。「一次取得者が購入できる分譲住宅の敷地は35坪前後です。このタイプの住宅に3kwのシステムを載せるのには、屋根面積は狭すぎます。無理に載せると屋根形状やデザインが変わってしまい、その分、コストも大きくアップし、購入者にとっては逆にマイナスになってしまいます」と語り、市場特性を分析した結果と渡辺部長は説明する。

博進ではシステムのコストダウンにも力を注いだ。渡辺部長は「お客様に『太陽光発電システムを付けた分だけ、販売価格が高くなりました』と言ってしまっては、決して満足していただくことはできません」と語る。そのため「何度となくシステムの生産メーカーの本社や生産工場に足を運び、交渉を重ねてユーザーに低廉な価格で供給できるよう努力しました。分譲住宅への採用という点でスケールメリットも出ました。集中して施工することができ、設置棟数が増えるに従って職人も施工に慣れ、作業スピードも早くなったことなどから、当初価格の4分の3以下で供給できることになりました」と胸を張る。

分譲住宅に標準採用

太陽光発電とオール電化仕様で明るく安心・安全な室内海外からの取材も相次ぐ

最近ではリフォーム客の間で太陽光発電システムへの関心が高まっており、採用するケースも多く見られるようになった。屋根一体型にすることにより、太陽電池モジュールが載る部分は屋根材が不要となるために安価でリフォームすることができる。その反面、システムの重量が建物に負担を掛けることになり、設置の際には躯体の補強工事が必要になるケースも少なくない。渡辺部長は「リフォーム工事では屋根面積が小さかったり、建物の南側にマンションなどが建っていて十分な集光量を確保することが難しいケースも見受けられます。当社では設計陣が必ず現地を見て、方位や屋根形状、図面を詳細に検討して受注するかどうかを判断しています」と語る。

仮に2kw以上のシステムが載せられないと判断した時は、施工を断るようにしているという。博進のこうした取り組みは、当然のこととして内外のマスコミから注目された。03年にニューヨークタイムス紙、04年には韓国KGSテレビ、05年にはフランス・リベラシオン紙が取材に訪れ、「太陽光先進国ニッポンの建設事例」として紹介した。韓国からは大掛かりな視察団が毎年、同社を訪れているという。博進では「一歩踏み込んだ街づくり」というスタンスで、太陽光発電システムにオール電化仕様を付加した住宅供給に力点を置いている。ヒートポンプ式給湯器エコキュートやIHクッキングヒーターなどを導入したオール電化仕様は安心、安全、経済性が高い。02年に発売した「ゆめみ野彩’s」から、供給する分譲住宅のほぼ全てをオール電化仕様としている。太陽光発電システムとの相乗効果によって、購入者に一層と快適で安全性が高く、経済的な暮らしを供給すると同時に、CO2削減を通じて地球環境の維持・保全に寄与していこうという試みである。

環境意識の高まりに合わせて、太陽光発電システムへの関心が強まっているのは事実。しかし、本格的な普及には至っていない。太陽光発電システムの価格が下がっているとはいえ、依然として高額であることが要因の一つにあげられている。資金計画に余裕のない新築では、太陽光発電システムの設置まで予算が回らず、設置効果は分かっているものの導入に二の足を踏むケースが見られる。さらに、05年度に国の住宅用システム導入への補助金制度が廃止されたことも普及の足枷となっている。05年度の住宅への導入実績は約7万3000戸と過去最高を記録したが、補助制度がなくなった翌年度は約6万3000戸に、07年度には約5万戸に激減した。博進では補助制度がなくなったことから、今までより一層と市場性を分析してプロジェクトごとに採用を見極める方針に切り換えた。太陽光発電システムの採用が分譲価格のアップにつながり、購買意欲が減退してしまっては台無しになるという判断である。

オール電化と併用でCO2削減に貢献

「めぐるecoW」の外観思い切った制度の見直しなど必要に

国は太陽光発電システムの普及には導入を支援する補助金制度が欠かせないと判断し、7月に「低炭素社会づくり行動計画」で太陽光発電量を2020年までに現在の10倍に増やすことを閣議決定した。この目標達成に向けて、今年度補正予算で補助制度の復活を決め、発電量1kwあたり7万円を助成することになった。太陽光発電システムは、自然エネルギーを活用して生活していながらCO2を削減できる切り札の一つである。国の補助金制度が復活し、地方自治体による補助も充実してきており、再びクローズアップされてきている。

しかし、渡辺部長は「分譲業者が率先して自社の建売住宅などに積極的に採用していかないと、太陽光発電システムは本格的に普及はしません。そのための方策を考えないといけません。補助金の額もまだ少なく、売電価格の見直しも必要です」と指摘する。太陽光発電の普及率でドイツに抜かれ、世界二位に甘んじた日本。環境立国を目指す上で、渡辺部長の指摘の通り、思い切った制度の見直しが必要な時期を迎えていることは確かである。

会社概要と沿革

設 立

昭和43年10月1日

代表取締役

長谷川 透

本 社

〒343-0807 埼玉県越谷市赤山町1-241

電 話

048-965-8181

資本金

2500万円

従業員

50人

沿 革

昭和55年2月

イージオーダー主体の分譲住宅を企画・販売

昭和59年6月

インターロッキングブロック舗装を採用した企画住宅「コスモタウン越谷」が、快適で美しい町として越谷市第1号モデル地区に認定される

平成元年10月

「アクアコート26」が川口市都市デザイン賞にノミネートされ、まちかどスポット賞を受賞

平成元年11月

「千間台・四季の路」がさいたま景観賞を受賞

平成8年12月

「コスモタウン彩’s」シリーズ発表。越谷市内にコスモタウンせんげん台彩’sを発表。越谷市が目指すより良い街づくりの思想を基に54棟の優良分譲建売住宅を販売

平成13年6月

吉川市内に都市基盤整備公団譲渡地「コスモタウンきよみ野彩’s」の優良分譲住宅を発表

平成15年2月

「コスモタウンきよみ野彩’s」の太陽光発電システムに対し経済産業省資源エネルギー庁長官賞を受賞

平成16年2月

埼玉県より彩の国さいたま環境保全優良事業所の認定を受ける

平成16年6月

第5回さいたま環境賞・彩の国エコアップ大賞を受賞

平成19年1月

賃貸業、賃貸管理業を主業務とする関連会社(株)コスモプラザを吸収合併し現資本金になる。同時に賃貸管理業務部門として南越谷に営業店「コスモプラザ」を開設

※協会機関誌「木芽」2008年秋号(Vol.129)より転載

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