日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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頑張る会員企業訪問記

日本の気候風土には木造住宅

日本には四季があります。また高温多湿です。そんな日本の気候風土に一番合うのは木造軸組工法住宅。
素材である「木」の特性から、調湿性や吸音性に優れ、地球環境や人の健康にもやさしいのが最大の特徴です。
そこで、木住協の機関誌「木芽」に掲載している頑張る会員企業訪問記を紹介します。

変わらぬ価値と変わり続ける価値。伝統を守り、革新を続ける企業マインドとは。(株式会社 鶴弥)

代表取締役:鶴見 哲 氏

愛知に息づく伝統の『三州瓦』をご存じだろうか。良質な粘土が豊富に取れる愛知県三河地方で育まれた、美しく、耐久性に優れた粘土瓦だ。1400年もの歴史を誇る屋根材で、現在も日本の住宅屋根の半分が三州瓦と言われている。そんな三州瓦を全国に供給する、日本一の粘土瓦メーカーが、愛知県にある。創業から約130年、着々と成長を続けてきた株式会社 鶴弥だ。

今や全国区で知られる鶴弥は、地元愛知を代表する愛知ブランド企業の認定を受けるなど、地元の伝統を守り、次世代へと伝える重要な役割も期待されている。目まぐるしい速度でトレンドが移り変わる住宅業界において、伝統を重んじながらも変化を恐れない姿勢で、長年にわたりトップランナーとして走り続ける鶴弥。その成長力の真髄に迫る。

陶業の地であげた産声

日本一の粘土瓦メーカーとして国内約20%のシェアを誇り、業界に名を馳せる株式会社鶴弥。その創業はおよそ130年前の1887年(明治20年)。愛知県刈谷市の小さな瓦工房だった。当時の日本では日清・日露戦争前の好景気による特需が起こり、鶴弥創業の地である刈谷近辺では350軒もの瓦屋が林立。たいそうな賑わいを呈していたという。余談だが愛知の地は古くから陶業がさかんで、良質な粘土と豊富な森林資源をもとに各地に陶業用の窯が作られてきた。瓦製造もそうした陶業の流れから生まれたものであろう。

現在の鶴見哲社長の曾祖父にあたる鶴見清冶郎氏も時流に乗り、瓦屋を立ち上げる。順調に成長を遂げながら事業は2代目の鶴見弥四郎氏へ引き継がれ、3代目の鶴見榮氏の代に急成長を遂げていく。いまなお人格者・経営巧者として語り継がれる辣腕代表の元、日本一の瓦メーカーへと発展し、4代目鶴見哲氏へ引き継がれる。

ピンチをチャンスに?震災からの急成長

破竹の勢いで成長を続ける鶴弥に、いや瓦業界、住宅業界全体に激震が走った出来事がある。1995年の阪神淡路大震災だ。多くの住宅が倒壊した未曽有の震災で、瓦業界は窮地に立たされる。テレビや新聞などのメディアが、被害の度合いをわかりやすく伝えるために瓦が崩れている建物を大写しに報道したのだ。人々の脳裏には倒壊のイメージに瓦が紐づけられ、結果的に建物倒壊の一因として「瓦の重さ」が悪役に仕立てられてしまったのだった。

しかし、実情はそうではなかった。阪神淡路大震災は、住宅の耐震基準が見直されるきっかけとなり、住宅業界では様々な新基準や規制・構法が開発されたのだが、実は瓦業界ではそれよりはるか以前から安全基準が定められ、優良瓦メーカーや施工店などでは瓦が欠落しにくい工法が取られていた。つまり、きちんと基準に従って施工された物件の瓦は落ちず、基準を守らずに作られた家の瓦が落ちていたのである。逆説的にいえば、基準を満たせば瓦のリスクはさほど大きくはない。その点を誤解され、瓦=地震に弱いというレッテルが貼られてしまったのだ。

しかし、これでへこたれる鶴弥ではなかった。かねてから研究していた防災瓦の開発を加速させ、なんと震災からわずか3か月後の1995年4月に『防災瓦シリーズ』の販売を開始したのだ。製品自体に軽さや固定力を持たせているため、現場で職人がうっかり釘を一本打ち忘れるといったヒューマンエラーにも対応できるという。震災という逆境をはねのけ、新商品を世に送り出したことで、鶴弥の経営はさらに盤石さを増し、3年後には東証2部上場を果たすなど、現在の経営基盤形成に至っている。

何が起きている?瓦業界の課題

常に研究を続け、時代のニーズにかなった瓦を供給し続けている鶴弥だが、現在の課題について鶴見哲社長はどう捉えているのだろうか。
「最近は、屋根そのものに消費者の関心があまり向かなくなってきているように思えます。かつては和風の家に瓦を載せるのが当たり前でしたけど、住宅デザインもずいぶん多様化していますからね。」
外観デザインにはこだわるが、屋根の話となると、地上からは見えにくいからあまり気にしない、そんなケースが多いという。
「また、太陽光発電が急速に増加してきているので、太陽光発電パネルの面積分だけ瓦の量が減っていたり、太陽光に予算をかける分、瓦ではなく安価な屋根材で済ませるというケースも増えているようです。」

ZEH(ゼロエネルギーハウス)などの次世代エコ住宅が提唱され、太陽光発電の搭載率はさらに伸びていくことが予想される。これからを戦うためには、瓦に意匠性・安全性以外の付加価値を付けていくことが必要なようだ。鶴弥は夏の屋根温度上昇を防ぐ『クールベーシックシリーズ』などの付加価値のある瓦商品を次々と送り出しているが、今後の展開はどう考えているのだろうか。

瓦の魅力を再評価

「品質の良い製品で長持ちさせる、長く付き合う。そういったライフサイクルコストの面、それからやはり、日本には瓦、という温故知新のイメージを訴えていくべきだと考えています。」
我が国において、長い年月を通して育まれてきた瓦は、日本の気候に適している。そういった瓦本来が備える魅力を再評価するようなアプローチをしていきたいと、社長の士気は高い。

「日本の場合、春夏秋冬で気候が全く違いますし、晴れも、雨も、雪も台風もある。外装にとっては過酷な条件がそろっていると思うんです。木造文化がはぐくまれた背景でも同じ理由が言えますが、住宅自体が呼吸をしないといけませんよね。屋根の部分でも同じことが言えて、瓦の場合は野地があり、防水シートがあり、その上に桟木を打って瓦を取り付けます。防水シートと屋根材の間に空気層があるので、瓦屋根の家は断熱性が高く、気候の変化に影響を受けにくくすることができるんです。」

住宅業界でも重要なファクターとなっている長寿命化。長持ちする質の良い素材を使い、メンテナンスフリーでいつまでも美しく、資産価値を保てる住まいが求められている。大量消費の中で経済成長を続けてきた近年の日本人マインドが、モノを大切にし、愛着を持って長く付き合うという、わが国本来のものへと帰結し始めているのかもしれない。そんな価値観の原点回帰が、鶴弥という企業には追い風になることもあるのではないだろうか。

常に変化を、向上を

鶴弥が今日まで成長を続けてきた秘訣の一つに、「変わり続けるものが生き残る」という企業精神がある。その精神は21世紀を迎えた現在も健在だ。いま、社長は新たな事業領域を模索中だという。 「瓦に関係するすべての物を当社で供給すること。これが当面の目標ですね。現状は瓦だけの取り扱いですが、施工現場を見てみると、防水シートもあるし、留めつけるのは釘ですし、関連製品はたくさんあります。そういった周辺部材もオリジナル化して、一棟あたりの売上量を増やしていきたいと考えています。」 さらに協力業者との共存共栄にも取り組んでいきたい、と語ってくれた。

「私たちの製品は、いわば半製品。瓦を製造した後、屋根に乗せて、職人さんに固定してもらってこそ、ようやく本来の価値を生み出せるものだと考えています。屋根工事の職人さんが居なくなると、製品として完成しなくなるということですから、なんとか職人さんたちとの共存共栄の道を探っているんです。」 そのために鶴弥スーパートライ登録施工店という制度をつくり、施工講習会、講演会、最新情報の共有、展示会への共同出展など、業界の横のつながりづくりに取り組んでいるそうだ。 これまで100年以上にわたり粘土瓦を製造し続け、その品質も、業界での立ち位置も、頂点に座する鶴弥。だが哲社長は前のめりの向上心・挑戦心を持ち続けている。これからも鶴弥は瓦メーカーの頂点に君臨し、住宅業界にも大きな影響を与える存在であり続けそうだ。

ピカイチ社員

生産技術室 服部 竜太 氏

生産技術室 服部 竜太 氏Q.入社したきっかけは?
もともと、モノづくり系の高校、大学に通っていたので、漠然とモノづくりに関わる仕事を探していました。中でも、自分たちの生活の中で目に見えるものをつくりたいという想いがあり、住宅業界に興味がありました。そんな中、大学で開かれた就職説明会で鶴弥の担当者とお話して、人柄やイキイキとした雰囲気にこんな会社で働きたいと感じ、鶴弥への就職を決めました。

Q.担当している仕事内容は?
現在は製造に配属されています。ライン作業の生産管理や設備の改善など、瓦の生産に関わるあらゆる作業を管理しています。不良品をできるだけ少なくするとともに、より良い製品をお客様にお届けするために、製品品質の安定性を確保できるように常に気を配っています。始業は朝8時ですが、自分なりに今日の作業内容や段取りを確認するために7時には出社して、頭を整理するようにしています。

Q.理想の将来像は?
自分自身が、周りの人に何か刺激を与えられるような存在になれるよう成長していきたいと思っています。製造現場にはたくさんの人がいるので、1人で悩んで考えているより、周りを巻き込んで意見をもらいながら、互いに影響を及ぼし合って高め合えるような職場にしていきたいですね。自分のような若い人間でも、意見を聞いてくれる雰囲気の職場なので、失敗を恐れず思い切った発想・行動で成長していきたいと思っています。

鶴弥のこだわりPOINT

強く美しく、取り扱いやすく、値打ちで、より安全な、屋根材を提供する

社長のひとこと

50年、100年、200年と、時代は変わっていくと思いますが、私たちは時を経ても変わらない瓦の魅力を愛しながらも、新たなものを生み出す向上心を忘れずに、常に挑戦し続けていきたいと思います。

会社概要

社名

株式会社 鶴弥

代表取締役

鶴見 哲

本社

〒475-8528 愛知県半田市州の崎町2番地12

電話

0569-29-7311

ホームページ

会社沿革

明治20年

創業

大正14年

鶴見弥四郎が家業を継承

昭和43年

株式会社鶴弥製瓦工場設立(刈谷市)

昭和58年

半田工場(現本社工場)内に本社機構移転。

昭和58年

株式会社鶴弥に社名変更

平成3年

新社屋竣工(半田市)

平成3年

本社を刈谷市より半田市へ移転

平成6年

名古屋証券取引所市場第二部へ株式を上場

平成14年

東京証券取引所市場第二部へ株式を上場

平成17年

愛知ブランド企業認定

平成18年

日経ものづくり大賞受賞

事業内容

粘土瓦の製造および販売
屋根工事の請負および施工
陶板壁材の製造および販売
建築資材の開発および販売
各号に付帯関連する一切の事業

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