日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

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頑張る会員企業訪問記

日本の気候風土には木造住宅

日本には四季があります。また高温多湿です。そんな日本の気候風土に一番合うのは木造軸組工法住宅。
素材である「木」の特性から、調湿性や吸音性に優れ、地球環境や人の健康にもやさしいのが最大の特徴です。
そこで、木住協の機関誌「木芽」に掲載している頑張る会員企業訪問記を紹介します。

木造耐火建築を柱に優良会員に (株)アイ建設(埼玉県川口市)

遠藤社長6年前の平成19年に設立されたばかりで、社員5人という「小さな会社」が埼玉県川口市にある。この「小さな会社」では、昨年の建設実績のうち約3割を木造耐火建築で占めており、これまでに建設した木造耐火建築は40棟以上にもなる。今回の「頑張る会員企業訪問記」は、そんな木造耐火建築を積極的に建設している株式会社アイ建設(本社=埼玉県川口市南鳩ヶ谷、資本金600万円、遠藤茂社長、1種B正会員)を訪れた。木住協の耐火仕様を基に建設現場の細かい納まりなどを定めた独自のマニュアルを作成して施主からの信頼も高く、3.3㎡あたり平均55万円という訴求力のある価格で、「小さな会社」ながらも木造耐火建築を得意とする会員企業に成長している。

アイ建設を率いる遠藤茂社長(59歳)は、秋田県横手市の出身。上京後に夜間高校を卒業し、建築の専門学校に通いながら叔父が経営していた工務店で大工修行を始めた。その後、住宅企業で現場監督などを経験し、木造住宅だけでなく鉄骨造の建築にも従事した。昭和57年には一級建築士の資格を取得。これまで40年間近くも建設現場の最前線で住宅建設に携わってきた。そんな経歴を持つ遠藤社長は、「小さな会社だからできることがいっぱいあるのです」と語りだした。「小さな会社だからこそ多様になっているお客さまのニーズに応えられ、小回りの利く仕事ができるのではないでしょうか。最近では当社の仕事ぶりをご覧になられたお客さまから、ご依頼やご紹介をいただくことが増えています」と胸を張る。

「小さい会社」ながら40棟超す木造耐火の実績

木造耐火建築の市場は拡大する会社設立と同時に木住協に入会。遠藤社長は「住宅市場が厳しさを増すなかで、何か特徴を持つ住宅企業に成長しないと生き残れない」と判断し、その「何か」を耐火建築に求めたという。東京・江戸川区の不動産企業から、防火地域での住宅建設の依頼があったことも木造耐火建築に取り組む要因のひとつとなった。会社設立以来の実績は順調そのもの。平成21年に18棟、22年と23年には各24棟を建設し、昨年は27棟に増加した。このうち8棟を木造耐火建築で占めた。累計実績も100棟を突破し、これまでに建設した木造耐火建築は40棟以上にも達している。こうした木造耐火建築の取り組みによって、昨年5月には「木造軸組構造耐火建築の普及に顕著な功績を挙げた」として木住協から功労者の1社として表彰を受けている。

こうしたアイ建設だからこそ、木造耐火建築に強いこだわりを持っている。まず、木住協の仕様書を基に現場の細かい納まりや施工法などを規定した独自のマニュアルを作成した。工事を始める前には、木住協の耐火講習を受講した現場監督が大工職人や水道工事、電気工事を担当する施工者にマニュアルに則った工事の注意点や納まり具合などを徹底させている。打ち合わせや現場での指示を通して、大工や作業者に「耐火建築とはどういうものか」ということを繰り返し教育しているという。遠藤社長は「建築現場では作業する職人しか知らない独自の納まり方や施工の仕方があります。そういったことをすべて職人任せにしてしまうと、マニュアルとは違った耐火性能を備えない建物になってしまう恐れがあります」と指摘する。40年近く現場一筋で携わってきた遠藤社長ならではの言葉である。そのため、現場監督はマニュアル通りに施工を行っているかを建設現場ごとに確認し、工事に関わる作業者の全員が常に建物の品質確保を意識できるようにしているという。

40年近い経験生かし、高性能・低コストを実現

川口市南鳩ヶ谷にあるアイ建設の本社アイ建設が建設する木造耐火建築の平均価格は3.3㎡あたり55万円だ。鉄骨造や木造の同業他社の60万円から65万円という価格と比べて、低コストを実現していることになる。これには秘密がある。実はアイ建設には営業職が1人もいない。一般の住宅企業ではモデルハウス出展や販売促進、広告宣伝費などの営業経費が多額になり、それが単価アップにつながっている。アイ建設では建設する住宅の70%が不動産企業からの発注で、残りの30%は設計事務所や不動産企業からの依頼・紹介で占めている。信頼に基づいた長年にわたる不動産企業や設計事務所との付き合いから、毎年、コンスタントに効率の良い受注を獲得している。遠藤社長は「営業職が1人もいない中で大きな”武器”となっているのが木造耐火建築です。当社は木造耐火建築が得意という住宅企業として定着しつつあります。お陰様で不動産企業や設計事務所からの建設依頼が増えてきました」と語っている。

価格の秘密はまだある。アイ建設では見積もりの精度を上げ、部資材もその建設現場で使用する分量だけを個別発注して直接購入している。無駄のない工程管理や現場管理も実施しており、そのために最低2日に1回以上は現場監督が建設現場を巡回するという細かさだ。「釘1本でも積み重なれば大きな金額になります。昔の職人などは作業で余ってしまった釘などは廃棄してしまったりしていましたが、使用する分量だけを支給することによって無駄がなくなりました。ホールダウン金物も同じ性能でもメーカーによって価格に大きな差があり、見極めながら購入しています。ファックスで注文すると翌日には現場に届くというシステムがあり、部資材の購入を通して単価の低廉化に神経を使っています」と遠藤社長。ここにも現場一筋で携わってきた知恵が生かされている。単価のコストダウンといえば真っ先に職人の手間賃を引き下げるケースが一般的だが、アイ建設では逆に手間賃を高くしているという。遠藤社長は「5組の大工職人が施工を担当しています。当社のシステムや耐火建築を熟知した職人に長く施工を依頼するには、一般よりも高い手間賃は当然のことと考えています」とキッパリと語る。

お客の設計会社も絶賛した施工対応

木造耐火住宅で施工した歯科医院アイ建設では、「当たり前のことを当たり前に行う会社」を目指している。遠藤社長は「建物に良いこと、生活されるお客さまに良いことをできる限り実施したいと考えています。それができるか否かは会社の力量だと思っています」と語る。例えば断熱材の充填。断熱材は正しく施工しないと、十分な性能を発揮しない。充填ひとつで断熱性能はもちろん、住宅の寿命や住む人の健康にも大きな影響をおよぼす。このためアイ建設ではグラスウールの断熱性能を最大限に引き出し、施工の信頼性を高めるために、現場監督のほか大工職人の全員がグラスウール充填断熱施工技術講習を受け、マイスター認定を取得した。当たり前といえば当たり前だが、間違いのない施工がアイ建設の信頼を支えていることになる。こうした住宅建設への姿勢が評判を呼び、不動産企業や設計事務所、また「耐火建築は価格が高い」と建設を諦めていたお客さまからの問い合わせも増えている。会社設立当初は戸建て住宅の建設が主流だったが、ここに来て耐火建築によるアパートや歯科医院などの医療併用住宅が増えてきたという。

そんな1棟に東京・中野区の商業地域に竣工した整形外科クリニックがある。さいたま市の設計事務所からの依頼で、敷地面積は約30坪。1階と2階がクリニック、3階部分が居住スペースの併用住宅である。依頼主である設計事務所は複数の住宅企業に見積もりを依頼したが、最も高い見積額を提出した企業とアイ建設の見積額の差は約1600万円にもなったという。中身を細かく精査したところ、どんぶり勘定や無謀な値引きをした様子はなく、アイ建設に工事を発注した。1階に診察室や待合室、処置室、X線室、2階にはリハビリ室や利用者のための個室を配置し、限られたスペースを有効に活用するため廊下をなくしたオープンプラン。居住スペースは採光を取り入れるために中庭を設け、これを取り囲むようにリビング・ダイニングと和室、書斎などを配置した明るいスペースになっている。この設計会社は、アイ建設の仕事ぶりについて「期待に違わず、そつのない仕事をしてくれました。見積もりや決裁権を持った社長自身が現場を監督し、打ち合わせや工事も担当してくれ、さまざまな対応が素早く柔軟にできました」と絶賛している。

木造耐火建築は厳しい時代を生き残る”武器”

中野区に竣工した整形外科クリニックとの併用住宅の外観/狭小地だが明るい日射しが入っている今後の耐火建築の需要について、遠藤社長は「一般住宅だけでなく、これからは医療施設との併用住宅や介護施設といった需要が増えてくると思います」と分析している。続けて「埼玉県内で受註した歯科医院との併用住宅は当初、鉄骨造で計画していましたが、価格が高かったようで当社が見積書を提出したところ受註することができました」と木造軸組ならではの価格が競争力を生むと指摘している。アイ建設では年間4、5棟の医療施設との併用住宅を受註できる目処がつき、遠藤社長は「木住協の会員は木造軸組耐火構造を”武器”に、これからの厳しい時代に対応していくべきです」とアドバイスしている。

アイ建設では昨年、埼玉県のチャレンジ経営宣言企業に登録された。その中で、「より高性能で低コストな木造耐火建築に取り組み、顧客層の拡大を図る」と宣言し、「得意とする木造耐火建築を県内の老人ホーム、医療施設の建築に生かし、低コストで高性能な建物を積極的に提案していきます」と取り組み策を表明し、具体的な経営目標として平成29年に売上高6億円の達成を掲げている。遠藤社長は「会社の規模を大きくしたいとは思っていません。不動産企業や設計事務所とのネットワークを今まで以上に堅固なものにし、耐火建築を全面に出して差別化を図っていきたいと考えています」と強調する。山椒は小粒でもぴりりと辛いという、存在感のある「小さな会社」を目指すという姿勢である。遠藤社長の仕事に対する姿勢を示すエピソードがある。遠藤社長が若かった時に設計から施工までを手掛けたお客さまから、リフォームの依頼があった。打ち合わせに出かけたところ、若かりし頃の手書きの図面が出てきた。緻密に丁寧に書かれており、「当時の私から『俺も頑張っているから、お前も頑張れ』と励まされたように感じました」と遠藤社長。「これからも良い仕事を続け、20年、30年先の自分に『お前も頑張れ』と励ませられるような、そんな仕事を続けたいですね」と語る遠藤社長に、アイ建設の未来を見たような気がした。

※協会機関誌「木芽」2013年新春号(Vol.146)より転載

当社のピカ1社員

厳格な目で建設現場を検査 施工管理 松本 昌翁(まつもと まさおう)さん

施工管理 松本 昌翁(まつもと まさおう)さんアイ建設で建設現場の施工管理を一手に任されているのが松本昌翁さん(34歳)。日大・理工学部機械科を卒業したものの、長野市の実家が材木店で「子供の頃から木と触れ合っていた」こともあって建築への夢が忘れられず、専門学校に再入学してCADを習得した。その後、2社の住宅企業に入社したが「両社とも単調な仕事が続き、充実感がなかった」ため、平成21年にアイ建設に転職した。

そんな松本さんは多忙な日々を送っている。午前7時に東京・巣鴨のアパートを出て、8時には南鳩ヶ谷の本社に。打ち合わせなどを済ませ9時過ぎにはハンドルを握って出かけるが、建設現場が散在しているため移動に時間がかかる。インタビューの日も埼玉県富士見市や東京都台東区など4カ所の建設現場を駆け回った、という。「金物の取り付けが指定通りか、納まりが適切かなどを中心に見て回ります。施工管理がしっかりしていないと、引渡した後でいろいろな問題が発生してしまうので、厳格に検査しています」と松本さんはキッパリ。

夕刻に帰社しても部資材の発注、見積もりの作成、建設現場によっては予算書の作成といったデスクワークが続く。松本さんは「社員が少ない分だけ責任は重いのですが、毎日の仕事は充実しています」と胸を張る。趣味は大型バイクでのツーリング。しかし、ここ2、3年は遠出ができなかった。一級建築士の勉強のため、時間が割けられなかったためという。「資格の取得はスキルアップにもつながりますし、仕事を続ける上で必要最低限のもの」と語る松本さん、今日も厳格な目で建設現場を駆け巡っているはずだ。

会社概要

設立

平成19年3月8日

代表取締役

遠藤 茂

本社

〒334-0013 埼玉県川口市南鳩ヶ谷6-5-13

電話

048-452-8290

ファックス

048-452-8291

資本金

600万円

従業員

4人

ホームページ

沿革

平成19年

資本金100万円でアイ建設を設立、建築士事務所登録

平成19年

資本金を600万円に増資

平成20年

建設業許可、事務所を現住所に移転し業務を開始

平成24年

埼玉県チャレンジ経営宣言企業登録、施工実績が100棟を達成

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