日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

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頑張る会員企業訪問記

日本の気候風土には木造住宅

日本には四季があります。また高温多湿です。そんな日本の気候風土に一番合うのは木造軸組工法住宅。
素材である「木」の特性から、調湿性や吸音性に優れ、地球環境や人の健康にもやさしいのが最大の特徴です。
そこで、木住協の機関誌「木芽」に掲載している頑張る会員企業訪問記を紹介します。

「幸せづくりの家造り」に邁進 アイ・ホーム(株)(宮崎県宮崎市)

田村社長今回の「頑張る会員企業訪問記」は、平成2年に設立され宮崎県全域を営業エリアに、これまでに約1600棟の注文住宅を供給してきたアイ・ホーム株式会社(本社=宮崎市佐土原町、資本金2000万円、田村寛治社長、1種B正会員)を訪れた。長期優良住宅先導的モデル事業を県下で初めて採択されたアイ・ホームでは、宮崎の気候風土を熟知した住宅供給に取り組み、宮崎県内企業宣言を行うなど地域に根ざした「地域ナンバー1企業」「オンリー1企業」を目指している。長年にわたって健全経営を続けているだけでなく、積極的に取り組んでいる県産材の活用によって、一昨年には宮崎中小企業大賞を受賞するという輝かしい経歴も持つ。消費税率のアップや超高齢化社会の到来といった難しい局面を迎えている中で新しい試みも開始し、アイ・ホームではお客さまへのきめ細かな対応によって住宅事業の拡大を図ることにしている。

JR日豊本線の佐土原駅から南に約10分も歩くと、左側にアイ・ホームの本社社屋が眼に入ってくる。田村寛治社長(62歳)と名刺交換すると、「家造りは幸せづくり」という活字が名刺の片隅に印刷されていた。年間100棟の注文住宅を供給しているアイ・ホームの企業姿勢が、この9文字の中に凝縮されているように感じた。田村社長は山口県下関市の出身。大学を卒業して農協に勤務し、農家の経営改善や融資案件の審査などに携わった。しかし、農業の厳しさを肌で味わい「同様に厳しい経営のつづく父親の製材業を元気にしたい」という想いから、一転して建築の道に。縁のあった宮崎の建設企業に入社し、企画から広告・宣伝、団地開発などを手掛けた。その後、紆余曲折があり40歳の時にアイ・ホームを創設したという経歴を持っている。田村社長は家造りへの想いを熱く語る。「社名にホームを付けました。『ホーム』と『ハウス』ではまったく意味が違います。建物としての外観や構造、性能を表すのが『ハウス』です。これに対して『ホーム』は家族像を連想させ、豊かな生活感を包含した生活そのものです。家族を得て初めて『ホーム』となるのではないでしょうか」と強調する。名刺に印刷された9文字のように、お客さまの幸せづくりを目指す姿勢でもある。

700ミリの軒の出で日射しを防ぐ工夫

県産材を多用した室内アイ・ホームが建設する注文住宅は、多くの特徴を持っている。性能面では長期優良住宅をスタンダード化したほか、耐震等級3を標準にして住宅性能表示制度と建設性能評価を全棟で実施している。1台のエアコンで全居室の空調や冷暖房をまかなえる「マッハシステム」も導入している。このシステムは小屋裏などに設置されたエアコンで外から浄化された新鮮な空気を室内に引き込み、温度と湿度を調整しながらダクトを通じて居室に送風、汚れた空気は排気グリルから屋外に排出するというもの。居室の室温が一定になり、床下にも居室と同じ空気が出入りして外気が流入しないため温度と湿度が一定に保たれる。1階の床が冷たいと感じることもなく、住宅の長寿命化にもつながるシステムとして注目されている。

日中は40度近く上昇する暑い夏でも、室内温度は27度前後で一定で推移するという実証データーも示されている。田村社長は「宮崎は海洋性気候で夏でもカラッとしたすごしやすい地域柄です。夏の夜も9時くらいから外気温が下がり、マッハシステムを採用すれば月間7000円前後、冬でも日中は日射取得で暖房が要らず5000円以下の電気代で快適に生活できます」とのこと。アイ・ホームの家造りで特徴的な点は、夏の日射しを室内に極力入れないために軒の出を700ミリと長く設定していることだ。日射しが入らないだけでなく、外観に陰影が生まれデザイン性も向上させる効果がある。「設計時に設定の700ミリから短くする場合には、社長決裁が必要です」と田村社長は笑うが、宮崎の気候風土を知り尽くした技といえるだろう。

地域資源活用で「宮崎中小企業大賞」を受賞

軒の出が長いアイ・ホームの施工例アイ・ホームの社員数は70人。このうち営業職が22人を占めており、残りの大半が技術陣。因みに一級建築士は14人、二級建築士が18人、インテリアコーディネーターが6人などという布陣で、住環境測定士や耐震診断士、宅地建物取引主任者といった複数の資格を取得している社員も多い。この陣容で8月期に約24億円の売上高を実現した。受注棟数の96%を注文住宅で占め、分譲住宅は年間数棟にとどまっている。分譲住宅の多くはモデルハウスとして一定期間展示し、その後に販売する分譲住宅である。注文住宅が中心で、積極的に土地購入をしていないため不動産リスクが少なく、アイ・ホームを優良企業に位置付けている要因の一つになっている。こうした企業姿勢から、アイ・ホームは平成20年から平成24年に、格付け企業のスタンダード&プアーズ社から日本SME格付けで「a」を取得し、財務内容の高い健全性を証明している。 実は田村社長の父親は製材所の経営を行い、炭坑の坑木やチップ、枕木などを生産していた。このため子供の頃は山と木材の搬出を見ながら成長したという。「木に対する親近感は強いものがありますが、反面で父親が木を伐採することを仕事としていたので罪悪感もありました」と語る。

そのためだろうか、アイ・ホームでは植林活動も積極的に展開している。麓の町の水源地になっている霧島に登り、社員だけでなく協力工事店やOB客、見込み客と一緒になって植林や間伐、除草作業などに汗を流している。「昨年は2回しかできませんでしたが、地元の森林組合の支援にもなり、今後も継続していきたいと考えています」と語っている。県産材の普及にも力を入れている。平成20年に緑の循環会議認証(SGEC)の認定を取得した。県産材の一棟当たりの使用量は同業他社と比較して5-6割も多く、地元林業の振興に寄与している。また、県産材の杉材を「ジャパンプランド」として活用できないものかと、熊本や大分、山口県などの家具企業、建具企業、玩具企業と一緒になって、新しい素材開発を行っている。田村社長は「杉を製材した後に高温のローラーに通すことによって、ほとんど曲がりがなく、乾燥時間を大幅に短縮できる素材にすることができる目処が立ちました。表面も硬化しているため傷が付かず、家具のほかに床材や階段材としても十分使えます」と、新素材開発に自信を持っている。このような県産材の利用や森林整備が評価され、アイ・ホームは平成22年9月に県から「宮崎中小企業大賞」(地域資源活用部門)を受賞した。この表彰制度は県内産業の振興や地域経済の活性化に寄与した企業を表彰するもので、住宅企業が表彰されたのは初めてとなった。

「子育てサポート制度」導入で働きやすい職場を

田村社長は住宅企業のトップとして一家言を持っている。それは「住宅企業には仕組み造り、基準作り、人づくりの3つが必要」ということ。「この3つが揃っていないと、どんな大手企業でも衰退の一途をたどってしまいます。家造りの仕組みがないと戸数を伸ばせません。基準がなければ品質が保てなくなります。そして、人づくりができていないとお客さまへの十分な対応ができません。一つでも欠けたら満足な家造りができず、その企業は住宅業界から退場せざるを得なくなってしまいます」と手厳しい。

アイ・ホームではマッハシステムや外断熱工法、長期優良住宅などをベースにして、約190社の施工協力業者で組織している共栄会と一体になり、今まで以上に仕組み造りと基準作りを追求することにしている。人づくりや人材育成も外部の教育機関の活用、セミナーへの出席などを積極的に行い、スキルアップを向上させることにしている。また、定期的に開催している共栄会の会員による現場パトロールや危険予知活動、業務改善委員会の開催などをさらに充実することにしている。田村社長は「当社ではメンテナンス・ナンバー1企業、性能重視で安心・安全住まいづくりナンバー1企業、施工技術ナンバー1企業を目指しています。この3つをナンバー1を達成し、地域になくてはならない住宅企業、オンリー1企業に飛躍したいと考えています」と語っている。社員たちのやる気の向上も忘れていない。昨年10月から「子育てサポート制度」を導入した。社員が子育てと仕事を両立でき、働きやすい職場環境を作ることによって、すべての社員が能力を発揮できるよう制度化したものだ。、子供が産まれた際の父親の休暇取得の促進、育児休業中における待遇や休業後の労働条件の周知など4つの目標を掲げている。サポート制度は大手企業では普及しているものの、中堅企業や中小企業の間では導入が遅れ、有能な人材の離職につながっているのが現状。こうした中でアイ・ホームの制度化は人づくりや優秀な人材の確保という面からも大いに期待されている。

快護支援住宅モデルの商品化で介護市場へ

建設を急いでいる快護住宅モデル田村社長は今、近い将来の展開策を考えている。一つは消費税率のアップへの対応だという。田村社長によると、「消費税がアップされると購買力が落ち、現状よりも低価格で延べ床面積も小さくなるはずです。こうした需要の変化への対応策の準備を進めています」と語る。具体的にはローコスト住宅の開発に着手した。田村社長は「ローコスト住宅といっても、一部に見られるような"安かろう" "悪かろう"的な住宅は開発しません。性能第一という大原則は崩さず、予算が少ないアイ・ホームファンのお客さまに対応していこうと思っています」と語る。

もう一つは介護支援住宅の商品化。本社の近くにモデルハウスの建設を急いでいる。アイ・ホームの考える介護支援住宅とは、健常者による介護中心ではなく、要介護者が入浴や排泄といったことを自分でできるよう、使う身になっての工夫を盛り込んだこと。 例えば便座の横に台座を設け、自分で椅子代わりに座って便座に移乗できるようにしたり、玄関の高さも車の床とフラットにして車椅子でそのまま室内に入れるようにするという。このため、ネーミングも介護支援住宅ではなく「快護支援住宅モデル」とする。階段の手摺りもダブルで左右両側に取り付け、階段の踏み板の色を変えたデザインにするなど、「要介護者の自立を目指すモデルにしたいと考えています」(田村社長)という。消費税対策といい、快護支援住宅モデルといい、需用者をどこまでも考えた家造りが注目される。アイ・ホームの「家造りは幸せづくり」という企業姿勢が、これまで以上に受け入れられる日が、ついそこまで来ているような印象さえ受けた。

※協会機関誌「木芽」2012年秋号(Vol.145)より転載

当社のピカ1社員

常に「お客さま第一」を心掛け多忙な毎日 インテリアコーディネーター 黒木 晴美さん

インテリアコーディネーター 黒木 晴美さん黒木晴美さんは、6人いるアイ・ホームのインテリアコーディネーターの1人。毎朝、自宅のある高鍋町から車で約20分をかけ、佐土原の本社に通勤している。9時すぎに出社して社内の打ち合わせを終えると、早速、折衝しているお客さまの図面作成に取り組む。 「コーディネートを行う際には、常に『お客さま第一』を心掛けています。家造りに対するお客さまの想いはそれぞれ違っていますので、お客さまの考え方やご要望をじっくりと聞き、その上で最適な提案をするように気を配っています」とキッパリ。

黒木さんは図面作成が一段落すると建築現場へと車を走らせる。常に15人前後のお客さまのコーディネートを受け持っているためだ。着工の約3ヵ月前から着工後4ヵ月間にわたって、色決めや仕様・機器の選定などを1人で担当するため、席が温まる暇がなく多忙な毎日の連続だという。建築現場での打ち合わせや各種の検査に立ち会う。引き渡したお客さまの新居を訪れて、入居後の住まい心地も確認する。「黒木さんに任せて良かった」というお客さまの一言が、日頃の忙しさを吹き飛ばすとも。

会社に戻るのは夕刻。事務処理を終え、帰宅のためにハンドルを握るのは夜8時前後になってしまうが、黒木さんは一向に気にしていない様子だ。「お客さまのご要望は日々新しいものに変化しています。私たちもそうした最新の流れに遅れないよう、常に勉強を続けなければいけません。お客さまのどんなご要望にも応えられるよう、これからもコーディネートの技を極めていきたいと思っています」と、黒木さんの顔から自信が垣間見えた。

会社概要

創業

平成2年2月

代表取締役

田村 寛治

本社

〒880-0212 宮崎市佐土原町下那珂3569-7

電話

0985-73-7770

ファックス

0985-73-7738

資本金

2,000万円

従業員

70人

ホームページ

沿革

平成2年2月

宮崎市内でアイ・ホーム有限会社を設立

平成14年4月

総合展示場・宮日ハウジングステーションに出展

平成15年4月

総合展示場・UMKハウジングパークに出展

平成15年11月

株式会社に組織変更

平成18年11月

スタンダード&プアーズ「日本SME格付」『aa』取得

平成19年4月

日向市亀崎に日向営業所を開設

平成19年11月

スタンダード&プアーズ「日本SME格付」『aa』取得

平成20年4月

緑の循環会議認証(SGEC)認定

平成21年3月

本社別館をオープン

平成21年5月

長期優良住宅先導的モデル事業 宮崎県内で初採択

平成22年9月

宮崎中小企業大賞を受賞「地域資源活用部門」

平成24年9月

平成23年に開設した都城営業所(北諸県郡三俣町)にモデルハウスをオープン

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