日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

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頑張る会員企業訪問記

日本の気候風土には木造住宅

日本には四季があります。また高温多湿です。そんな日本の気候風土に一番合うのは木造軸組工法住宅。
素材である「木」の特性から、調湿性や吸音性に優れ、地球環境や人の健康にもやさしいのが最大の特徴です。
そこで、木住協の機関誌「木芽」に掲載している頑張る会員企業訪問記を紹介します。

きめ細かなユーザー対応を追求 (株)えねい建設(静岡県静岡市)

江井博昭常務静岡市に本社を置く1種B正会員の株式会社えねい建設(本社=静岡市駿河区池田、江井政仁社長、資本金2000万円)。昭和36年に創業し、半世紀にわたって建設事業を続けてきた。今回の「頑張る会員企業訪問記」は、新築のほかにリフォーム事業にも力を入れている「えねい建設」の家造りを取材した。オリジナルの外断熱・二重通気の家を「武器」に、見込み客の獲得に独自の手法を確立するなど、地域ナンバー1の住宅企業を目指すという。前期の業績はリフォーム事業を中心に、過去最高の受注件数を記録したという。「企業寿命は30年間」といわれる中で、半世紀にわたって着実に住宅事業を続け、好業績を挙げている秘密を江井博昭常務(43歳)に聴いた。えねい建設のきめ細かなユーザー対応は大いに参考になる。

株式会社えねい建設は、現会長で博昭常務の父親が静岡市内で51年前に創業したのがルーツ。博昭常務は営業の全般と工務とのセッションを担当しており、代表取締役の江井政仁社長は6歳上の実兄である。住宅着工が先細りするなか、えねい建設の業績は上々に推移している。博昭常務は「新築は年間10棟前後ですが、リフォーム受注が順調で前期は年間目標の400件を大きく上回って、過去最高の約470件を受注しました」と語る。

独自の外断熱・二重通気工法を展開

外断熱・二重通気工法で吹き抜けを設けた広い住空間の家えねい建設の秘密を聴く前に、営業エリアの特性を教えて貰った。同社の営業エリアは、静岡市を中心に東は沼津、西は掛川市までの地域である。東西に細長い静岡県の太平洋沿岸が営業エリアで、伊豆半島や浜松市などで施工することもあるという。気候は温暖で、雪は冬でもめったに積もることはない。博昭常務も「15年ほど前に2センチほどの積雪があったことを覚えています」と語るほどだ。生活する上で季節的に最適な地域といえるが、えねい建設では外断熱と二重通気工法を組み合わせた家造りを追求し、一段と住み良い居住環境をユーザーに提供している。

同社の家造りは外断熱施工を施し、外壁の内側と室内側の壁の2箇所に通気層を設け、夏季に涼房空間を、冬季には温房空間を実現するというもの。春から夏、秋の時期は、床下ダンパーを開放して外気を吸い込むと同時に、小屋裏に設置した小屋裏換気ファンで暑い熱を外部に排気する。断熱材が遮熱材の役割を果たし、通風と床下の冷たい地中熱によって爽やかな空間をつくる。冬は室内側の床下ダンパーと小屋裏換気ファンを停止し、窓からの日射熱と床下の暖かい地中熱を室内側の通気層を保温させ、暖かい室内にするというもの。オリジナルの外断熱・二重通気工法である。本社から車で約15分の静岡市葵区に、特注の大きな丸窓と黒い外壁が特徴のモデルハウスが建てられている。外観は和風・モダン、宿泊体験ができる「匠ノ棲家」がそれだ。ここにオリジナル展開した外断熱・二重通気工法が取り入れられており、デザインの良さと快適な生活ができることから、匠ノ棲家と同じ住宅を建てて欲しいというユーザーもいるという。博昭常務は「お陰様でユーザーの皆さんから『外断熱のえねい』といわれるまでになりました」と語っている。

制震工法を標準仕様に取り入れ

夜景にたたずむ匠ノ棲家えねい建設の営業エリアで忘れてならないのが、東海地震の発生が危惧されている地域であるということ。「地震に強い家への関心が非常に高い地域です」と博昭常務。このため耐震リフォームも他の地区に比べて数段も進んでいるという。えねい建設の供給する住宅は耐震性の強い木造軸組住宅だが、外断熱・二重通気工法を採用したことによって、免震構造にするには無理が生じる。気密性が求められる外断熱工法では、免震住宅のように基礎と土台の間に揺れを抑える積層ゴムを組み込むと隙間が空いてしまい、肝心の気密性が保てなくなるからだ。外断熱・二重通気工法の良さを熟知している博昭常務は、「外断熱・二重通気工法を採用し、その上で揺れを軽減することはできないものか」と考えた。考え抜いた結果、壁の一部に制震ダンパーを取り付け、揺れを約70%抑えることができる制震工法を採用することにした。車のショックアブソーバの原理を取り入れ、高層ビルなどで使用されている「オイルダンパ」が地震エネルギーを吸収するものである。

今、えねい建設では本社の近くにこの制震工法を取り入れ、さらに外断熱・二重通気工法で新モデルハウスを建設している。博昭常務は「リフォームでは制震装置を取り入れると市から30万円の補助金が受けられ、ユーザーにとっても願ってもないもの。また、新築でも制震工法を標準仕様にしたいと思っています」と語り、地震への備えを万全にするという。

独自のリフォーム・チラシで受注拡大

木をふんだんに使用した新築住宅ここで、えねい建設が好受注を続けている秘密を博昭常務に聴いてみると、「市場性を見極めて、きめ細かな対応をしています」という答えが返ってきた。「きめ細かな対応」とはどのようなことなのか。えねい建設では、構造見学会と完成現場見学会を定期的に実施している。このほか、「匠ノ棲家」を会場にセミナーを開催している。「知っ得セミナー」と呼んでいるもので、見込み客を対象に「資金計画」や「工法の違い」「丈夫な基礎の造り方」「インテリア」などをテーマに、毎年3月から12月の毎月1回、開催している。大工や電気職人、コーディネーターなど実務に携わっている人たちが講師で、「質疑の時間をたっぷり取るのが成功の秘訣」と博昭常務は語っている。10年前から始め、毎回5組前後の参加者がおり、受注機会も高いという。

「匠ノ棲家」では、宿泊体験もできる。同社では夏季と梅雨時、冬季の3シーズンに宿泊し、外断熱・二重通気工法の涼房空間と温房空間、梅雨時のカラッとした室内空間を体験して貰うことを提案している。宿泊体験者の受注率も高いという。セミナーの開催や体験宿泊などは実践している木住協の会員も多いが、えねい建設ではこのほかにも様々な手を打っている。その代表が労働組合を対象にしたリフォーム相談会の開催や独自のチラシ配布だ。静岡市の周辺には大手企業の工場が多い。えねい建設では毎月2、3回、企業の組合事務所に出向いて、お昼休みなどを活用して相談会を開く。一つの事業所で500人から2000人の従業員がいるため対応が大変だというが、博昭常務は「どんな小さなリフォームにも対応することにしています。小規模工事でも、従業員の数が多いため、有効な受注獲得手段になっています」と強調している。特異なのは独自のチラシ。手元にチラシの現物がある。それを見ると薄い赤1色で社名と問い合わせの電話番号のほかにリフォーム工事のメニューと価格・工事費用が書かれ、所々にバルコニーやエコキュートの写真を掲載しているだけというもの。配布して1年になるが、その配布の方法にも秘密がある。博昭常務によると、毎月第1土曜日に朝刊に折り込む。配布場所は営業エリア全域ではなく、本社所在地を含む小学校の2学区内の約8000軒だけ。チラシの片隅には「地元の皆様へ感謝を込めて5%OFF」と大きく書かれている。博昭常務は「リフォーム工事を何処に頼めばよいのか分からない方が結構いらっしゃいます。地元を大事にしたいという気持ちがあり、何かアイデアはないかと考えました」と語る。赤い色を使ったことがミソだともいう。何故と聞くと、「地元に以前からあるスーパーマーケットが赤と白字で書いたチラシを配布しており、近所の住民にとっては見慣れたチラシ。敢えて同じような色を使いました」という答えが返ってきた。

丸窓を黒い外壁が特徴の匠ノ棲家効果はてきめん。問い合わせは直ぐにはないが、1週間後の週末になると電話が鳴り出すという。網戸の交換や手摺りの設置、畳替えなどシーズンによって工事内容は違うが、「かなりの反響があり、驚きました。どんなことでも対応します。そこから長いお付き合いが始まるからです。家を建てた工務店などがなくなってしまったところも多く、地元の方にはぜひ当社のファンになっていただきたい」と語る。えねい建設の取り組みはまだある。その一つが建設現場ブログ。お客様は自宅の工事の進み具合が気に掛かるもの。同社では職人にその日に作業した内容を、自宅のパソコンで打ち込ち込んでもらい、打ち込まれた工事手順は、えねい建設のホームページに反映され、お客様が「今日はこんな作業をしたんだ」ということや工事の流れを確認することができる。ブログへの掲載は新築と大型リフォームで、お客様の承諾を得たものに限定しているが、ホームページに掲示しているため見込み客も見ることができ、ファンづくりの大きな「武器」になっているという。こんなことも行っている。それは、同業2社と共同で設立したメンテナンス専門会社の「(株)めんてかぶ」。外断熱工法では欠かすことのできない換気装置の清掃や建具の調整、キッチンや浴室の清掃などのメンテナンスのすべてを行う。特徴は1回あたり1万5000円の有償で実施することである。メンテナンス作業はほぼ半日かがりになり、住まいの主治医的な立場で家回りを診察する。「当初は需要があるのか心配しましたが、当社のお客様の85%が利用しています。有償ということでお客様も苦情など言いたいことを言ってくれますし、こちらもお金を貰っていることから、それ以上のメンテナンスを行っています」と博昭常務はここでも熱く語った。

少数精鋭の従業員で環境に適合した家造り

こんなえねい建設だが実は従業員は10人しかいない。企画を含めた営業社員が3人、設計と積算、現場、資材、社員大工が各1人、経理社員が2人で、経営陣を含めても15人という陣容だ。少数精鋭を地でいく社員数である。博昭常務は「少ない人員ですがOB客やリピート客が多く、紹介比率も高いのが自慢です」と語る。きめ細かな施策によって紹介受注は40%も占め、効率経営を展開していることになる。えねい建設は、木住協の長期優良住宅先導事業にも取り組んでいる。平成22年度の提案募集で採択された「木住協ながい木の家モデル~持続可能な選(よりどり)の家」の共同提案者になっている。先導事業に取り組んだのは、「長期優良住宅が日本の住宅のスタンダードになると考えたからです」とキッパリ。地産地消にも取り組み、柱材に地元の富士檜を、梁材には天竜檜を使用している。

博昭常務は、「現在の社員数を考えると、事業の幅を広げるのは得策ではありません。外断熱・二重通気工法をさらに一歩進め、地球環境に適合した家造りを突き詰めます」と語る。木住協に入会して良かった点を聞くと、「我々に必要な各種情報がメルマガなどを通じて得られ、願ってもないこと。今まで以上にリフォーム関連の情報を充実して欲しいですね」という回答が返ってきた。夢は、「妻を連れて海外の有名建築を視察すること。新婚旅行に連れて行っていないし…」と笑う。ユーザーのためを考え抜いたえねい建設のきめ細かな経営施策が、半世紀を超えて住宅事業を継続させた要因といえよう。木住協会員として自慢できる会員の1社である気がした。

※協会機関誌「木芽」2012年新春号(Vol.142)より転載

当社のピカ1社員

お施主様に言われた「謙虚さ」を忘れずに 工務課 柳 貴博さん

住宅アドバイザー 石井 まどかさん柳貴博さん(23歳)は地元の静岡市出身だが、実は昨年4月に九州産業大学建築科を卒業して入社したばかりの新入社員である。現場監理が仕事で、毎朝6時過ぎに起床して8時前には出社する。朝礼を終えると直ぐさま現場に出かける。1日に5、6件の現場を回り、昼頃に会社に戻り、午後から再び現場に向かう。夕刻に帰社しても施工図を書いたり翌日に使用する材料の手配など、忙しい毎日を送っている。「入社してすぐに新築現場を任されました。右も左も分からないまま、見よう見真似で工事の段取りを自分で行いました」と柳さん。工事の途中で失敗し、お客様から何度となく怒られたこともあるそうだが、無事に8月末に引き渡すことができた。

当時のことを思い出し、「本当にホッとしました。怒っていたお施主さんから、引き渡しの時に『謙虚に良くやってくれて、ありがとう』とお礼を言われました」と振り返る。「新入社員の私にそんな言葉を投げ掛けていただき、本当にありがたかったです。『謙虚さをぜひ続けて』とも言われ、座右の銘にしています」と続ける。隔週の土曜日と日曜日が休日。また、平日の夜は、男女混合チームでビーチボールを打ち合う「バルーンバレー」に汗を流している。夢は「一級建築士の試験に合格すること。できれば自分で設計して、自分の家を建ててみたい」とも語る。会社から車で約15分のところの自宅で両親と3人で暮らしている。昨年4月に貰った初任給は、「半額を両親にあげました。今まで育ててくれたお礼を込めて…」という親孝行な柳さんである。

会社概要

創業

昭和36年6月10日

設立

昭和55年10月3日

代表取締役

江井 政仁

本社

〒422-8005 静岡県静岡市駿河区池田358-1

電話

054-262-9595

ファックス

054-261-3292

資本金

2,000万円

従業員

15人

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