日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

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頑張る会員企業訪問記

日本の気候風土には木造住宅

日本には四季があります。また高温多湿です。そんな日本の気候風土に一番合うのは木造軸組工法住宅。
素材である「木」の特性から、調湿性や吸音性に優れ、地球環境や人の健康にもやさしいのが最大の特徴です。
そこで、木住協の機関誌「木芽」に掲載している頑張る会員企業訪問記を紹介します。

降灰対策第一の家造り追求 MBC開発(株) (鹿児島県鹿児島市)

中野健一・取締役技術統括住宅ほど地域特性や気候風土に左右される商品はないだろう。今回の「頑張る会員企業訪問記」で訪れたMBC開発株式会社(1種A正会員)の営業エリアは、鹿児島県を中心とした南九州。高温多湿な気候に加えて白蟻被害も多く、特に桜島からの降灰に配慮した家造りが求められる地域である。この様な気候風土に対応して、MBC開発では独自の木造軸組工法住宅を開発、他社が行っていないサービスも実施し、地域に密着した住宅事業を展開していた。省令準耐火構造や長期優良住宅も積極的に取り入れており、木住協の自慢の会員社である。

桜島は鹿児島のシンボルである。しかし、降灰の状況は思っていた以上であった。取材に訪れた当日も何回となく桜島から噴煙があがるのが見られ、鹿児島湾を渡って降灰が鹿児島市内に降り注いでいた。街中を歩いていても薄く靄がかかったようで、駐車中の車のフロントガラスには細かな灰がこびりついていた。そんな思いも、取材に応じてくれたMBC開発株式会社の中野健一・取締役技術統括(55歳)に「まだまだ序の口です。夏に向かって本格的な降灰の季節を迎えます。こんなものではありません」と軽くいなされてしまった。桜島の噴火活動は活溌期に入っていると観測され、今年に入って2月末までに200回近くも爆発している。爆発回数は昨年(896回)を大きく上回り、降灰量も増えると予想されている。

1階の全てに白蟻対策、軒の出を90センチにし、灰と強い日差しを遮蔽

展示場にオープンしたエムブランシェツインMBC開発株式会社(本社=鹿児島市樋之口町、資本金2億円、陶山賢治社長)は、地元の放送会社である南日本放送が全額を出資して昭和44年に設立された。木造一戸建て住宅の供給を行っている建設事業本部のほかに不動産、企画、地産など6つの事業本部を配置し、地域に密着した多角的な事業を展開している。降灰のほかに台風シーズンには集中豪雨も多く発生し、日差しが強く高温多湿で蒸し暑いという鹿児島独特の気候風土に対応するため、MBC開発では木造軸組住宅に様々な工夫を取り入れている。

外壁と内壁の下地材には、耐力面材として鉱物繊維と火山性ガラス質材料の複層板である「MDパネル」を採用し、壁倍率3.0という高強度を実現している。夏の強い日差しを遮るため、遮熱機能の高い透湿・防水シートを施工して、省エネと快適性も実現した。また、遮熱断熱複層ガラスLow-Eガラスを標準化して、夏場の暑さを解消すると同時に冬の保温性を高めている。降灰はわずかな隙間から室内に入り込んでくる。このため軒の出も75センチと深くして日差しの入り込みを防ぎ、居室の密閉性を高めることによって降灰が室内に入ってくることを防止している。シックハウス対策では、引き渡し時に全棟VOC検査を実施して居室の安全性を確認している。水害にも万全の対応を行っている。平成5年夏に南九州を水害が襲い、大きな被害を被ったことから、同社では地盤高を決定する際に当時の水位高をポイントにしているという。

中野技術統括は「鹿児島地方では白蟻対策も欠かすことはできません」と語る。このため、同社では1階部分の構造部材と下地材の全てについて、宮崎県都城市の製材所で加圧注入処理した木材を標準仕様で採用している。2階部分の白蟻対策についてはオプションで対応している。引き渡し後10年目の再施工を条件に、20年間の保証システムも実施し、白蟻被害を未然に防ぐ家造りを進めている。これらはいずれも標準仕様としてMBC開発の家造りに取り入れられている。MBC開発では、ブランド商品として主力の自然素材を活用した「エムブランシェ」のほか、毎日のお手入れラクラクをコンセプトとした「エムスタイル」、収益併用賃貸住宅の「ユニキューブ」、都市での住まい方を追求した「ユニキューブカラー」などを開発してきた。このうち主力商品に位置付けている「エムブランシェ」は長期優良住宅に対応しており、軒の出も90センチとより深くさせるなど、より一層と地域の気候風土に順応させている。

同社では2月下旬に鹿児島市内の住宅展示場に、二世帯住宅の新タイプ「エムブランシェツイン」をオープンさせた。新モデルは中央部に両家族の団らん場所ともなるセンターコートがあり、左右にそれぞれの家族スペースを配置して、北側の廊下を通って行き来できるプランニングとなっていた。自然素材が多用され、遮熱機能の高い透湿・防水シートによって日差しが強い日の訪問だったが、居室内は程良い温度が保たれていた。親世帯の屋根は南勾配の大屋根とし、強い日差しを遮る90センチの深い軒の出が建物に陰影を与え、落ち着いた外観を演出している。降灰時には窓を開けることができず、洗濯物も外では干せないことから乾燥室も配置するなど、鹿児島ならではの仕組みづくりが随所に施されていた。

8割に省令準耐火構造を採用 きめの細かなサービスを実施

暖かさを醸し出すモダンな和室鹿児島の気候風土にマッチしたMBC開発の家造りは、地元のユーザーから大きな支持を得ている。昨年度の完工棟数は前年度より20棟近くも多い95棟(受注高約27億円)の実績を挙げている。受注環境が厳しくなっているなかで、好業績を挙げている要因は何だろうか。中野技術統括は「長期優良住宅や省令準耐火構造の採用といった、お客さまのことを考えた頑強な家造りに加えて、地域に密着した各種の催し物の開催、きめ細かなサービスの提供などがあげられます」と語っている。

MBC開発では、完成現場見学会を毎月開催、各会場とも2日間で30~40組の来場者を獲得している。見学会では子供を対象にした工作教室も開催し、毎回多くの親子連れで賑わっている。土地有効活用セミナーも本社内のホールで開催している。鹿児島市内と霧島市内に出展しているモデルハウスからの受注と合わせて、現場見学会などからの受注頻度が高くなっているという。省令準耐火構造の採用率は受注した住宅の約80%に達しており、火災から人命や家財を守れるとあって喜ばれているほか、同じ木造企業とバッティングした際の差別化策としても役立っている。

鹿児島で初めて「緑の循環認証」取得 チャレンジ25で地球環境対策を推進

「木の家」では木造住宅らしい真壁を実現した環境時代を迎えて環境対策を行っていない住宅企業は、厳しい観察眼を持つ消費者から淘汰される世の中になった。MBC開発では自然素材の多用、風向きなどを考え自然の摂理の導入した設計手法の採用、建物の高断熱化、太陽光発電システムや高効率機器の導入といった具合に、考えられる環境対策を講じている。長期優良住宅の普及を図り、国産材も会社の方針として積極的に採用している。「チャレンジ25キャンペーン」にも参加し、ソフト面で照明のこまめな消灯やペーパーレス化、クールビズとウォームビズの実施、節水、社員教育などに力を入れている。極めつけは認証林産物取り扱い事業体として認定されたことだ。昨年9月に「緑の循環認証」を取得して、取り扱い事業体として認定された。土台や柱に使用している国産の檜や杉材など、全て森林認証制度に基づいた持続可能な森林経営を行っている産地からの製材品を使用している。製造や加工などの各工程で、他の林産物と混合しないよう分別管理も徹底している。

中野技術統括は、「この『緑の循環認証』を取得したのは、鹿児島県内で当社が初めてのことです。これからも地球環境を保全するため、全社が一丸となって国産材を採用して環境に配慮した住宅供給に務めて行きたいと考えています」と語っている。MBC開発の高い技術力を支えているのが技術陣の多さである。全社従業員に占める有資格者は延べ人数で一級建築士が9人、二級建築士14人、宅地建物取引主任者81人、一級建築施工管理技士9人、賃貸不動産経営管理士12人、不動産コンサルティング技能登録者7人などとなっている。こうした数多くの技術者が、気候風土にマッチした家造りの基礎となっている。

リフォーム事業の充実図る 新築は一層と地域密着策を

MBC開発では今期からリフォーム事業を今まで以上に積極化する計画だ。これまでのリフォーム課を人員シフトも含めて拡充し、太陽光発電システムの設置や断熱改修、バリアフリー改修のほかに、マンションの全面改修、リノベーションといった大規模リフォームにも本格的に乗り出す。リフォーム事業の直近の売上高は、建設事業本部の10%前後を占めている。具体的なリフォーム事業の将来像については教えて貰えなかったものの、中野技術統括の頭の中には既にリフォーム事業の青写真ができあがっているようだ。

中野技術統括は「リフォーム事業の積極化と合わせ、新築部門では今まで以上に地域密着を進めていきたいと思っています。そのためにお客さまの身になって、どの様な対応が必要で、どの様な施策が喜ばれ、役に立つのか。そして、お客さまに満足のいく暮らしをどうしたら提供できるのかということを考え、社員全員で共有します」と語り、地域密着を基本とした供給の仕組みを構築するとしている。その上で「住宅は個人の資産でしたが、これからは社会資本にしなければなりません。そのためにも不動産事業本部との連携を強めていきます。木造軸組住宅は手触り、足触りも良く、素材の木材の味わいが体感でき、わが国の気候風土に一番マッチした住宅です。地域密着をさらに押し進め、営業力を強化してお客さまが自慢したくなるような家造りに取り組んでいきたいと考えています」と強調した。桜島の降灰が収まった頃を見計らって、中野技術統括が語るより一層と地域密着を進めたMBC開発を再び取材したいものだ。

※協会機関誌「木芽」2011年夏号(Vol.139)より転載

会社概要

設立

昭和44年10月

代表取締役

陶山 賢治

本社

鹿児島市樋之口町1-1

電話

099-226-7777

ファックス

099-227-1465

資本金

2億円

ホームページ

沿革

昭和44年10月

設立

昭和45年2月

建設事業本部の前身として住宅部を発足させ、「東芝メイゾン」の販売をスタート

昭和58年2月

MBC不動産販売を設立(平成19年に吸収合併)

平成14年6月

国際規格「ISO9001」取得

平成22年9月

鹿児島県で初めて「緑の循環認証」を取得、認証林産物取り扱い事業体として認定される

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