日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

木の色とカラーコーディネート アメニティ&カラープランナー 葛西 紀巳子

床の色とフレームとの色みは連動させると馴染み易いつい最近まで過ごした私の家は、青森ヒバで建てた家でした。「家を造るなら絶対にヒバの木で造りたい」と、住まいに思い入れの強かった父が、工務店を経営する知人を青森県まで同行させ、材木の1本1本を吟味して、現地から調達して造らせた家です。その家もすでに30年以上経ちますので、水まわりなどの設備関係は何度かリフォームしましたが、柱や長押し、壁、床などに使われたヒバは、年を経るごとに赤みを増し、艶やかになり、なんともいえず愛しい我が家です。このような家に長年住んでいましたので、いま、こうしてコンクリートのマンションで仕事をしていると、木の温もりや風合いの心地よさに、ことさら愛着を感じます。「親木性」とでもいいましょうか。木に対する思いは、われわれ日本人にとって、やはり永遠のものなのでしょう。

イラスト:木の色とカラーコーディネートコンクリートがもてはやされた時代を経て、木の良さも再認識されているようです。それは住宅だけでなく、幼稚園や学校、高齢者施設など、さまざまな施設で木材が使われていることからも知ることができます。建築上の制約などにより、ホンモノの木を使えない場合でも「せめて視角的に癒されたい」という気持ちからでしょうか、"木目柄" "木調"の素材を使った空間も多く目にします。それは、建材の色彩コンサルティングをしていても実感することです。

実際、新製品の企画などでは、木目柄のニーズも増えていますし、色のバリエーションも増加しています。当然、製品色を開発する際には、木の色や柄についても分析するのですが、同時に他の建材色との関係性をチェックして、インテリアの調和性を検証しながら、製品の企画をすすめるようにしています。こうした過程で、木製品を見ていると、そこにはある一定の色の傾向が見られます。インテリアをコーディネートする場合には、この傾向に沿って内装の色を決めていくと、空間は非常にまとまりやすくなります。

色みの傾向に合わせる

やや赤みを感じるナチュラル色の床・ドアの色は床と違う素材と色。色みの傾向は連動しているフローリングや木製建具などの製品カタログを見ると、一般に、「ライトブラウン」「ダークブラウン」「ミディアムブラウン」「ホワイト」などと、色の濃さによって樹種ごとに名称をつけている場合が多いようですが、これを、色みの傾向からとらえていくと、赤み寄りか黄み寄りかに分類することができます。

もちろん両方にまたがっているものも数多くあるのですが、基本は、色の傾向をそのどちらかに仕分けることができます。不透明塗料でなければ、白い塗装を施した製品でも、樹木の色の特徴が表面にあらわれるので、まっ白になることはなく、「黄みを帯びている白」か、「赤みを帯びている白」として見ることができます。インテリアコーディネートをする場合は、この色みの傾向に沿って各部位の内装色を選んでいくと、空間はまとめやすくなります。

たとえば、黄みを感じるダークブラウンの床だったら、それにあわせて、建具もドア枠も黄み寄りのものを選ぶのです。もしも建具を白にするのなら、その白は「赤みがかった白」ではなく、「黄みによった白」を選びます。家具も同じです。メーカーの異なる家具を組み合わせる場合などは、全く同じ素材や色に揃えることができないことが多くあります。その場合は、色みの傾向を揃えていくと、全体的にバランスが良くなります。

それは、木の色だけではありません。壁をビニールクロスにする場合でも、色の奥にある"色みの傾向"を見るのです。たとえば、オフホワイト(黄みがかった白)の木製建具にピンクの壁クロスを組み合わせる場合、そのピンク色は、やや黄みを感じるサーモンピンク系にします。白とピンクで、色そのものは違っていても、色みの傾向が一貫するので、馴染みがよく、全体的に調和感が得られるのです。この考え方を基本として、色の選定をしていくと、インテリアはまとめやすく、心地よい空間をつくることができます。

※協会機関誌「木芽」2012年新春号(Vol.142)より転載

葛西紀巳子

アメニティ&カラープランナー 葛西紀巳子(かさいきみこ)

(有)色彩環境計画室 代表。東京生まれ。「快適な環境づくり」を心理的、生理的側面から色彩計画し、設計を行っている。
東京家政大学非常勤講師。著書『くらしの色彩物語〜住・環境・色彩アメニティ〜』(フロムライフ)など多数。
‘06年11月には「色彩環境へのまなざし」(密書房)を発刊。

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