日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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寝室の色と光 アメニティ&カラープランナー 葛西 紀巳子

寝室の色と光このたびの東日本大震災、3月の雪混じりのあの日から、早くも季節は夏に向けて動き始めていますが、被災されたみなさま方におかれましては、まだまだ心休まることもなく、眠れない日々が続いていることとお察しいたします。また、直接、被災されなかった方々でも、あの日以来の落ち着かない生活に眠りが浅くなったという人もいらっしゃるのではないでしょうか。眠りは、1日の疲れを癒し、心身を休息させる大切な時間です。その睡眠の質をよくすることは、健康を維持するにも等しいこと。そこで今回は、安眠を促す寝室の色や光について考えてみたいと思います。

よく、「寝室にはブルー系がいい」などといいますが、淡い色調ならばまだしも、青らしい青はその色が水の冷たさをイメージさせるので、寒さを感じさせてしまいます。特に、トイレに行く頻度が高くなるお年寄りの部屋をこの色にしたなら、より寒々しい感じがして逆効果。寝室に寒色を使うのは、季節や色の濃さなどを考えてからにしたいものです。

では、どんな色が安らかな眠りをいざなうかというと、それは、パステルピンクやパステルイエローのような淡い色調です。前回も紹介しましたが、これらの色は体の筋力がゆるみ、心も開放されたときに、被験者の方々の心にイメージされた色でした。ですから、こうした穏やかな色調や暖色系などは、リラックスを目的とする部屋に積極的に使ってほしい色なのです。

明るいベージュでまとめているので、穏やかなイメージ。壁も淡いベージュです。では、どんな色が安らかな眠りをいざなうかというと、それは、パステルピンクやパステルイエローのような淡い色調です。前回も紹介しましたが、これらの色は体の筋力がゆるみ、心も開放されたときに、被験者の方々の心にイメージされた色でした。ですから、こうした穏やかな色調や暖色系などは、リラックスを目的とする部屋に積極的に使ってほしい色なのです。

さらに、全体的にやや黄みを感じさせるウォームトーンは、(たとえば、たまご色やベージュ系、ピンクの場合はサーモンピンク、緑色の場合は、やや黄色みを帯びた緑などは、)体の緊張を緩め、気持ちを穏やかにさせます。つまり、ホワイト系でもまっ白ではなく、やや黄色みを感じさせるオフホワイトやベージュ系の方が、寝室の壁面や天井などに使う色としては相応しいのです。

そういう意味では木材は、すべて赤みや黄みを帯びた色。木の家が心身ともにリラックスするのは、触角や嗅覚に加えて、視覚的にも心地よさを伴うからなのです。和の空間が落ち着くのも、畳も木も和紙の色も、みんな黄みを帯びたウォームトーン。この自然の素材色に人々がほっとするというのは、そうした理由だからです。このような空間に白熱灯があると、ウォームトーンの色調を強調することになり、より温もりが感じられるようになります。寝室には、白熱灯の色の光が人々の気分を静め、体内リズムをとりもどすことにもなるのです。

ホテルの寝室です。照明の光のもとでは表情が豊かになります。そもそも白熱電球の光は、夕陽の色に関連づけられています。それは1日の終わりに向けて、活力が緩んでいく体内リズムの流れにも沿い、この赤みの色が疲れを癒し、気分を豊かにしてくれるのです。さらに白熱電球は陰りをつくります。この陰影が、物の存在感や質感を高めます。壁装材でも、エンボスのある素材はより質感を高めますし、たとえツルっとした平滑な壁紙であっても、空間に奥行きがあらわれます。けれど現在、急速に切り替えられているLED照明では、このような陰影がでないのが残念です。今後の光の開発に期待したいものですね。

加えて、寝室は必ずしも天井を高くする必要はありません。体を横にして眠る私たちにとっては、むしろ低めの天井の方が、包まれているような安心感があります。家具を配置する時も、1,800mmのチェストではなく、1,500mm以下の背の低い家具の方が、目線に落ち着きますし壁面に絵画などを飾る場合も、やや低めの位置で、水平方向に目が向くほうが安定感があります。

※協会機関誌「木芽」2011年夏号(Vol.140)より転載

葛西紀巳子

アメニティ&カラープランナー 葛西紀巳子(かさいきみこ)

(有)色彩環境計画室 代表。東京生まれ。「快適な環境づくり」を心理的、生理的側面から色彩計画し、設計を行っている。
東京家政大学非常勤講師。著書『くらしの色彩物語〜住・環境・色彩アメニティ〜』(フロムライフ)など多数。
‘06年11月には「色彩環境へのまなざし」(密書房)を発刊。

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