日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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「震 …大地の揺れ、貝の動き、人の誕生は同じ」 書家 宇佐美 志都

朝焼け地震、震災…この「震」の漢字を、
ご説明せねばならない日が突然に訪れてしまった日本列島。

まずは、東北地方太平洋沖地震により直接的に震災に見舞われる事となってしまった方々、
それに伴ない心を痛めている全ての日本国民、 そして誰よりも届けたいのは、
倒壊家屋や海の彼方で眠ることとなってしまった方々への 鎮魂の念…
黙祷、合掌を心より心より節に申し上げます。

地球が誕生し、人類の誕生。そして、火の使用と言葉の使用をはじめた私たちの祖先。
そして、ここ十年ほどの文明の利器の数々は、今の私たちの暮らしに当然として備わるものとなり、
同時に、「手書き文字」を失いかけていました。
しかし、連日、被災の現場で書き込まれている手書きによって綴られる生存者名簿の掲示板。
それらには、単なる人柄を感じる文字という次元を越えた、人々の心の叫びのような魂が、
吐く息と共に奥底に鋳込まれているようでもあります。
自然と共存していた遥かむかし…。元来、人間は、自然と共にこそ、
その生命があることを心得ていました。自然を慈しんでいました。

この未曾有の大地震以前の私たちは、どうだったでしょう。電気があること、水があること、
そして、命があることを立ち止まってみることが、果たしてあったでしょうか。

「震」の漢字は、貝の類が足を出して動いている形に由来します。
自然と共に自らの命もあったことを自覚していた時代は、貝のあのゆっくりとした動きも、
大地の揺れ(地「震」)も、そして、人が生命を宿すこと(妊「娠」)も、同じ生命の証として
感じとっていました。 よって、その漢字たちは、全て「辰(しん)」という意味に由来しています。
動くもの、動きだすものを目に見える大小の差として区別するのではなく、大地も、貝も、人の誕生の蠢きも、
同じ次元でとらえられる心を内包していました。いま、私たちに課せられているのは、
「自然への慈しみ」と、次元を超えた「慮る(おもんばかる)心」を問い直す事なのかも知れません。

この復興に、日本木造住宅産業協会会員皆々様が、ご尽力されておられる事に、一国民として、御礼を申し上げます。
合掌

※協会機関誌「木芽」2011年春号(Vol.139)より転載

宇佐美 志都

宇佐美 志都(しづ) 書家・文字文化随筆家

認定NPO法人文字文化研究所認定講師を、文化勲章受章漢字学者の故・白川静氏より拝命。
書家としての活動及び、文字の成り立ち・日本の慣習についての執筆・講演を各地で行っている。
NHKにて、「国語の時間ですよ。宇佐美志都の今月のひと筆」等の番組も担当してきた。

宇佐美 志都ホームページはこちら

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