日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいの情報

卯建(うだつ) (株)根岸俊雄都市建築事務所 代表取締役 根岸 俊雄

卯建(うだつ)写真の町家で、妻側の1階と2階の屋根の間に張り出した小さな袖壁(小屋根付き)が、卯建(うだつ)と呼ばれるものです。より古い町家においては、妻壁全体を2階屋根より一段と高く突き上げ、その上に小屋根がのせられた例が見られますが、これが本来の卯建(うだつ)といわれるものでした。

卯建の役目は、町家が隣家と互いに接して建つ街並みにおいては、防火でした。壁面を土で厚く塗って小屋根を瓦葺にすると防火の効果があり、延焼を防ぐことができたのです。また、卯建を上げることで屋根の「けらば」(切妻屋根の破風に突き出た部分)を隣家に出すことなく収め、狭い土地を有効に利用することができました。

イラスト:卯建を上げるこのような卯建も、江戸時代中期頃になりますと、装飾的な意味に重きが置かれるようになります。「卯建を上げる」ためにはそれなりの出費が必要でしたから、これが上がっている家は比較的裕福な家に限られていました。上方(かみがた)地方を中心に商家の屋根上には、自己の財力を誇示するための手段として、立派な卯建が競って上げられるようになりました。

ですから「うだつが上がらない」ということは、「生活や地位が向上しない」、「状態が今ひとつ良くない」、「見栄えがしない」という意味になったのです。イタリアのトスカーナ地方の小さな村:サンジミニャーノにおいても、中世に富を誇示するための手段として、高い塔が競い合って建てられました。その塔の数は一時期70以上にも登り、今でも14の石造りの塔が残されています。この塔の町は、現在は世界遺産に登録されています。

卯建のある街並みは現在少なくなってきましたが、徳島県の脇町や岐阜県の美濃町などでは、卯建を地域の象徴的存在としてその保存に努めています。個性的で魅力溢れる街並づくりにおいては、「卯建を上げる」というような健康的意味合での自慢づくりエネルギーはたいへん貴重であると思いますが、皆さんはいかがでしょうか。

※協会機関誌「木芽」2012年春号(Vol.143)より転載

根岸俊雄

建築家 : 根岸俊雄(ねぎしとしお)

根岸俊雄都市建築事務所:代表取締役

平成12,13,20年度「彩の国さいたま景観賞」受賞

著作「住まいは十の箱づくりから」、「おばあちゃんちの楽しかった土間」

木住協 木造ハウジングコーディネーター研修講師

根岸俊雄ホームページはこちら

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